※本記事は日経コンピュータの特集をほぼそのまま再掲したものです。初出から1年近くが経過しており現在とは状況が異なる可能性がありますが、この記事の価値は今でも変わらず、読者にとって参考になる部分が多いと判断し、改めて公開しました(ITpro編集部)
ITベンダーが提供する製品やサービスを利用し、プライベートクラウドの構築にかかる手間を省くのも「作らない」を実現する有効な手法である。代表格は、クラウド専用のアプライアンスであるオープンメインフレームと、IaaSやPaaSといったクラウドサービスだ。
ただし、安易な導入や利用は、控える必要がある。プライベートクラウドを構築するまでのプロセスがブラックボックス化し、ユーザー企業のシステム部員がスキルやノウハウを蓄積できない可能性があるためだ。オープンメインフレームやクラウドサービスが、自社のシステム環境に合っているのか、試用するなどして事前に見極めるべきだ。
オープンメインフレームで近道
オープンメインフレームは、大手ユーザー企業が導入を検討するなど、関心は高い。
サーバーやストレージ、ネットワークといったハードと、運用管理ツールなどのソフトを組み合わせ、動作確認を終えた状態で提供するアプライアンスが、オープンメインフレームである。プライベートクラウドを構築するために必要な機能をオールインワンで提供する製品だ。ユーザー企業は、構築の手間を減らし、期間を短縮できる。
ユーザー企業はどの程度、構築にかかる手間を削減できるのか。例えば、仮想化ソフトやサーバー、ストレージなどに各種OSを組み合わせて動作確認する作業をITベンダーに任せることができる。最近では、セルフサービスポータルやワークフローを自動化する機能を備える製品も登場している。リソースプールを構築するだけでなく、リソースをサービスとして提供するために必要なメニューやワークフロー、運用自動化といった機能の実装も省力化できるのだ。
「当社のCloudBurstを使えば、物理サーバーが数十台規模のプライベートクラウドを数日で構築できる。もちろん、システムの標準化を終え、メニューのパターンを絞り込めていることが前提だ。これまでは、構築に1カ月ほどかかっていた」(日本IBMの吉崎敏文執行役員)。
Exalogicが登場
プライベートクラウドが普及期に入りつつあるこの時期、ITベンダー各社もオープンメインフレームの投入や機能強化を急いでいる(表1)。
日本オラクルは2011年1月に、「Oracle Exalogic Elastic Cloud」の提供を開始した。これは、米オラクルが2010年9月に開催した年次イベント「Oracle OpenWorld 2010」で発表したもの。「業種を問わず、引き合いが強い」。日本オラクルの首藤聡一郎クラウド&EA統括本部クラウド・エヴァンジェリストはこう語る。