テレビ東京ブロードバンド(TXBB)とオールクーポンジャパン(ACJ)は、9月にテレビ東京グループのクーポンまとめサイト「てれとクーポン」を開始した。この記事は、スタート直前に取材し掲載したものである。

 テレビ東京ブロードバンド(TXBB)は2011年9月21日にクーポンまとめ検索サイト「てれとクーポン」の開設を予定する。同社はこれに先立ち、オールクーポンジャパンと2011年8月25日にクーポン事業の共同展開に合意し、資本業務提携契約を締結していた。てれとクーポンを中核にして、フラッシュマーケティング事業者(割引価格で商品購入やサービス利用ができるクーポンの販売事業者)向けの支援事業を推進する。

 てれとクーポンでは大きく2種類のクーポンを扱う。一つは、テレビ東京の番組に関連するクーポンである。トップページに大きなスペースを用意して、掲載する。もう一つは、オールクーポンジャパンのWebサイトにある複数のクーポンで、下の部分に表示する。オールクーポンジャパンは、提携先である他社からクーポン情報の供給を受けており、そこからてれとクーポンで掲載するものを選ぶ。ユーザーがクーポンを選択すると、そのクーポンを販売しているサイトに移動し、そこで購入手続きを行う仕組みである。てれとクーポン経由での購入枚数に応じて、TXBBとオールクーポンジャパンに料金が支払われる。

 トップページでは、テレビ東京の番組ページや旅・グルメポータルサイトへのリンクを張って容易に移動できるようにするほか、TwitterやFacebookといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)との連携機能も搭載し、クーポンについての書き込みなどができるようにした。

人手に頼らない形での収益拡大を目指す

 フラッシュマーケティング事業を自社で行う場合、クーポンの発行元となる店舗への営業などで人員が必要になる。こうした作業を委託する場合も、一連の作業を管理する人員が必要になる。

 TXBB 取締役の渡辺豪氏は、「多くの人員を抱えなくても事業を拡大できる仕組みが作れないかを考えた」という。自社で店舗と交渉してクーポンを調達するのではなく、複数のクーポンサイトを取り扱うサイトの運営事業者と提携すれば、多くの人手を掛けなくても多様なクーポンを販売できる。このため国内の200件弱のサイトのクーポンを取り扱う横断型検索サイトを運営するオールクーポンジャパンとの協業が望ましいと判断し、資本提携に踏み切った。

 TXBBは今後、テレビ東京がこれまでの番組収録で蓄積した店舗や宿泊施設などの情報や映像とクーポンを連携させることを目指す。例えば、番組で取り上げたクーポンの発行元である店舗の映像があればそれをWebページで視聴できるようにして、同じページでクーポンを選べるようにする。「旅・グルメ情報とクーポンをうまく組み合わせることで、我々のサービスの存在感を向上したい」(渡辺氏)という。今後、映像活用を進めるため、店舗などの情報や映像を持つテレビ東京と協議を進めたい意向である。

提携サイトでのクーポン販売を推進

 今後、様々なサイトで店舗の情報や映像と組み合わせる形でクーポンを提供して、その効果を検証する方針だ。TXBBとオールクーポンジャパンが提供する映像やクーポンを掲載するスペースを、提供先のWebサイトに設置してもらう。「例えば、テレビ東京の様々なWebサイトや、オールクーポンジャパンがクーポンを提供しているポータルサイトなどでの展開が考えられる」という。例えば女性向けサイトでどの映像とどのクーポンを組み合わせると効果があるかなどを検証し、購入率を高めるための手法を試行錯誤する。「クーポンを出す時間帯を夜間にすると、購入件数がどう変わるかについても関心がある」という。

 今後、クーポンを販売していない外部サイトに対し、TXBBのクーポン販売の仕組みを導入するように呼びかけていく。提携サイトを増やして収益を積み上げるモデルを採用する理由について、「一つのサイトで販売する場合は、そのサイトのページビュー向上が必要になる。多くのサイトでクーポンを販売すれば、収益が増える仕組みを作りたい」と説明する。

 サービス拡大の構想としては、スマートフォンなどのGPS機能と連動するアプリの提供を挙げた。「テレビ番組で取り上げた場所に行く視聴者は多い。その場所に行った視聴者が、アプリで近くにある店舗のクーポンを表示して購入できるようにする」という考え方だ。