第2回以降は、NTTドコモが展開するコンシューマ向けサービスを企画・開発しているスマートコミュニケーションサービス部のキーパーソンへのインタビューを通して、サービスの背景やこれからに迫る。まずは同部ネットサービス企画担当部長の前田義晃氏に、スマートフォン向けサービスの投入を急いだ理由やその背景、狙いなどを聞いた。

(聞き手は大谷 晃司=ITpro

スマートフォン向けに多くのサービスを投入する理由や背景をまずは教えてほしい。

NTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部ネットサービス企画担当部長の前田義晃氏
NTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部ネットサービス企画担当部長の前田義晃氏

 今回の取り組み( 第1回 「d」がシンボル、スマホ向けサービス本格始動)のきっかけは、スマートフォンに対して、ビジネスの側面でもサービスの側面でも、まだ十分に整っているという状態ではない、という認識から始まっている。

 スマートフォンでも、iモードで培ってきたサービスやコンテンツは当然使えるべきであり、それも使えるだけではなく、スマートフォンに最適化された形、進化した形で使えるようにすることが重要になる。こうしたことをしっかりやることで、よりスマートフォンにユーザーが移ってきてくれる。進化したサービスを使ってもらうことで、ユーザーから見た際のNTTドコモに対するロイヤリティも上がり、ビジネスチャンスも広がる。

スマートフォンのユーザー像をどのように捉えているのか。

 どちらかというと、今スマートフォンを購入しているユーザーは、iモードのようにパッケージで提供されるサービスを使っているというよりは、例えば自分から一般サイトにどんどんアクセスしたり、自分なりの使い方を確立したりしている方、そして新し物好き、アーリーアダプター層だとこれまでは思っていた。

 ところが実際は違うのではないか、ということを示すデータが出てきている。その一つが、iモードの有料コンテンツ登録率の変化。これまでiモードの有料登録率は50%強だったが、それが既に40%にまで落ちている。ざっくり言うと、5000万人のユーザーの10%の有料登録がなくなっているということになる。500万人とすると今のspモードの契約数と大体符号する。

 スマートフォンに対して新しいものを求める方であっても、iモードのサービスをそれなりに使っている方がスマートフォンに移ってきており、そしてiモードの有料サービス/コンテンツをそのまま使わなくなる、という状況がこの数字から見えてくる。つまり、フィーチャーフォンをしっかり使ってきたユーザーがスマートフォンに移っているという実感が得られた。