Windows Azure Platformには、「Windows Azure」「SQL Azure」と並んで「Windows Azure AppFabric」という名のサービスがある。このWindows Azure AppFabricは、オンプレミスのアプリケーションとクラウドの橋渡しをするサービスである。2011年10月現在、Windows Azure AppFabricには「サービスバス」「アクセスコントロール」「キャッシュ」の、3つのサービスが提供されている。
今回は、Windows Azure AppFabricの概要を解説するとともに、実際に管理ポータルからAppFabricのサービス名前空間を作成し、サービスバスのサンプルプログラムで動作を確認する。
オンプレミスとクラウドの架け橋「AppFabric」
Windows Azure AppFabricとは、主にオンプレミスのシステムとWindows Azure上のシステムを接続するためのサービスである。AppFabricを利用すれば、社内およびインターネットで動作するアプリケーションやサービス同士が連携する際に問題となる「ファイアウォール」や「シングル サインオン」の問題を解決する。
ちなみに名前の由来である「ファブリック」とは「織物」のことを意味し、様々なアプリケーションやコンポーネントが、相互に絡み合う様を表現している。2011年10月現在、Windows Azure AppFabricが提供しているのは「サービスバス」「アクセスコントロール」「キャッシュ」の3つのサービスで、これらサービスにアクセスするための専用SDK(Software Development Kit)が用意されている(図1)。
ところで「AppFabric」という機能には、「Windows Azure Platform」で動作するものと、オンプレミスのWindows Server 2008 R2で動作するものがある。オンプレミス向けの「AppFabric」のことを「Windows Server AppFabric」と呼び、サービスの内容に違いがある。
Windows Server AppFabricは、Internet Information Services(IIS)上で動作するアプリケーションに対して、Windows Workflow Foundationの拡張や分散メモリーキャッシュといった機能を提供する。これらの機能を利用することで、より簡単にIIS上のアプリケーションを「スケール」することが可能になる。