いままでのシステム部門は、システムを整備・維持することが主な仕事であった。ユーザー部門の御用聞きに徹し、彼らの要望にもとづくシステムを作り、それを維持する「システムのお守り役」を担っていた。

 しかしながら、今のシステム部門は経営層からの期待に応えていない。前回の『経企部門が吐露する「システム部門への不満」』で紹介したように、「なぜ事業戦略の遂行にもっと関与できないのか」「なぜ変革を促すような提案を積極的にできないのか」「なぜ成果に対する説明責任を果たせないのか」――といった不満があがっている(図1)。

図1●システム部門に突きつけられている課題 システム部門が「ビジネスを変革する集団」となるためには、これら経営層からの不満を解消しなければならない。
図1●システム部門に突きつけられている課題
システム部門が「ビジネスを変革する集団」となるためには、これら経営層からの不満を解消しなければならない。
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 このことはシステム部門が「単なるシステムのお守り役」ではなく、システムという道具を駆使して「ビジネスを変革する集団」としての役割が期待されていることの表れであろう。こうしたビジネス変革集団を、ここでは「ビジネス・トランスフォーメーション・オフィス(BTO)」と呼ぶことにする。

 前回述べたように、ある企業の経営企画部門からは「正直、現状のままのシステム部門であるならば、経営センス的にも、コミュニケーションスキル的にも非常に厳しいため、必要ないと考えている。経営企画部門にシステム企画の機能を持たせ、それ以外のシステム関連業務については外部に委託することを検討している」という厳しい意見も出ている。こう言われないためにも、システム部門はBTOに生まれ変わらなければならない。

 では、いったい何から手を付ければよいのか。数々のコンサルティング経験から、システム部門がBTOに生まれ変わるために重要な4つのポイントを紹介したい。

 いずれも非常に基本的なことなのだが、その実践は容易でない。一足飛びに生まれ変わることは難しく、気力と惜しみない労力を積み重ねる必要がある。4つのポイントを実践するための具体的な方法論は次回以降に紹介するが、まずは全体像を把握してほしい。