ユーザーにとって従来型携帯電話(フィーチャーフォン)を購入するか、スマートフォンに買い替えるかを検討するのは普通のことだろう。企業側にとっても、フィーチャーフォンとスマートフォンを比較してモバイル市場を把握をしたり、戦略を考えたりするケースが多い。
しかし、スマートフォンとフィーチャーフォンの二つだけを比較して戦略を考えても、その視点は非常に限られたものとなってしまう。スマートフォンのポイントの一つにネットの使いやすさが挙げられる。人によってはスマートフォンを「持ち歩けるWeb環境」と呼ぶ。これを考えると、影響を受けるのは、フィーチャーフォン市場以上にパソコン市場なのかもしれない。
実際、スマートフォンの存在で、ネット接続環境が大きく変わり、ユーザーのパソコンとの接触機会に変化が出ている。この変化はパソコン広告/アプローチの価値の低下、スマホプロモーション価値の向上といった評価につながる。アンケート結果からスマホユーザーのパソコン離れの現状などを見ていく。
アンケートの調査方法はスマートフォンのユーザーが、スマートフォンから回答する手法であるスマホリサーチ(関連記事)を利用。有効回答数は902件である(表)。
調査概要 | スマートフォン所持によるパソコン利用の変化 |
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主催 | モバイルマーケティング・ジャパン、ネットマイル |
対象ユーザー | 「スマホリサーチ」パネル(共通ポイントプログラム「ネットマイル」会員約 450万人の中から抽出したスマートフォンユーザー) |
調査期間 | 2011年10月8日~11日 |
方式 | インターネット調査(回答はすべてスマートフォンから得たもの) |
有効回答数 | 902 |
スマートフォンを持ち始めて「パソコンですること」が減少
スマートフォンを持ち始めて、パソコン利用にどのような変化があったか聞いたところ、今回の調査の有効回答数902件中、約半数に当たる438人がパソコンの利用時間や「パソコンですること」が減ったと回答した。特に「個人用のパソコンを使う頻度が減った」人の割合は、変化があったと回答した人の63.6%にもなった(図1)。検索やネットショッピングなど「個人用のパソコンですることが減った」と回答した人も41.4%と高い。パソコンをわざわざ立ち上げずとも、スマートフォンのネット環境で補えてしまうことが非常に多いのだ。
このアンケート結果だけを見ても、パソコン環境で消費者がネットを閲覧する時間/目的の減少と、その価値(PCウェブサイト広告やプロモーションなど)の低下が示唆され、PC/スマホともに広告出稿者や代理店、その他関連会社に与える影響は、ますます大きいものとなってくると予測される。