企業がソーシャルメディアを、自分たちの施策に利活用し始めるようになり「ソーシャルメディアポリシー」と呼ばれるものが、作られるようになってきた。そして一部の企業では、それを対外的に公開するようになるなど、特に約2年ほど前からある種の“ブーム”ともいえるような形で広まり、現在に至っている。

 ソーシャルメディアポリシーは、ソーシャルメディア上における企業に対するリスクが高まっている現状を考えると、もはや必要不可欠になりつつあると考えてもいいだろう。だがそれは、これまで考えられていた(策定されてきた)ものとは違うものになってくる。既にソーシャルメディアポリシーを策定している企業も、その中身を、現在の流れに対応していくような形に改めていくことが求められている。

従来のポリシーではカバーしきれない部分が多い

 これまで、特に日本の企業で策定されているソーシャルメディアポリシーは、その大半が「企業としてのソーシャルメディアに対するスタンス」を明記したものだった。企業の施策としてソーシャルメディアを使用する従業員(あるいは関係者)は、そのスタンスに完全に則った形で、ソーシャルメディア上でコミュニケーションすることを明確にしているという位置づけになる。

 実際には、これらをベースに企業サイトなどに記されている「免責事項」や「使用条件」に相当する要素を付加したような形になっている。そして、自分たちが「企業公式」という位置付けで設けているソーシャルメディア上の窓口、つまりTwitterアカウントやFacebookページのリストを掲載しているものが多い。

 もちろん、これはこれで有効であろう。ただし、昨今発生する「炎上」の多くは、こういった従来のソーシャルメディアポリシーでカバーされていない部分で発生しているという点は意識する必要があるだろう。それは従業員や関係者「個人」に関わる部分だ。

 多くの場合、これらのソーシャルメディアポリシーでは「個人の発言は、企業の活動とは一切関係ない」という形になっている。そして従業員や関係者「個人」のTwitterアカウントなどでも「このアカウントにおける発言は個人のものであり、所属組織を代表するものではない」という旨が書かれていることが多い。