前回まではWindows Phoneの概要および現在のスマートフォン市場で広く使われているiPhone/Androidと比較することで、Windows Phoneの見どころを包括的に紹介してきた。今回はWindows Phone 7.5における大きな機能強化のひとつである、Internet Explorerを取り上げてみよう。

Windows Phone 7.5で一気にIE9にアップデート

 Windows Phoneには、標準のWebブラウザとしてInternet Explorerがインストールされている。これはデスクトップ用Windowsの標準ブラウザであるInternet Explorerのモバイルバージョンである。これらを区別するために、Windows Phone用のものはInternet Explorer Mobile(IE Mobile)と呼称されることもある。

 日本では未発売だったが、一つ前のWindows Phone 7ではIE7をベースにしたIE7 Mobileを搭載していた。だが、IS12TなどのWindows Phone 7.5端末では、最新のIE9をベースにしたブラウザにバージョンアップされている。

 IE9 Mobileは、デスクトップ版IE9のソースコードをもとに開発されている。そのため、デスクトップ版で実装された新機能の多くがIE9 Mobileでも有効である(図1)。たとえばHTML5やCSS3といったWeb標準への対応や、新開発のJavaScriptエンジンであるChakra、GPUアクセラレーションによる高速な画面描画といった特徴は、すべてIE9 Mobileでも有効だ。

図1●IE9 Mobileが対応するHTML5関連機能(MIX11の資料『<a href="http://channel9.msdn.com/Events/MIX/MIX11/HTM05" target="_blank">Going Mobile with Your Site on IE9 and Windows Phone 7</a>』より引用)
図1●IE9 Mobileが対応するHTML5関連機能(MIX11の資料『Going Mobile with Your Site on IE9 and Windows Phone 7』より引用)
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 競合するプラットフォームであるiPhoneやAndroidの標準ブラウザに比べ、従来のIE7 Mobileはかなり見劣りする部分も少なくなかった。しかし、Windows Phone 7.5とIE9 Mobileによって、いきなり最先端に追いついたといえる。

 なお、デスクトップ版はすでに次バージョンであるIE10の姿が明らかになりつつある。Microsoftの担当者によればモバイル版も並行して開発を進めているようである。今後のアップデートでIE10 Mobileが配布されることを期待したい。