日経BPコンサルティングが実施した「レガシーシステム問題」に関する調査の後編。前編では企業の8割超がレガシーシステムを所有している実態も明らかになった。後編となる今回は、システム担当者がレガシー問題をどのように解決しようとしているのかを探る。
意欲はあるが着手には至らず
解決策が完全には見えていないなか、システム担当者は保守上の課題を抱えたレガシーシステムにどう付き合うべきか。
保守上の課題を抱えるレガシーシステムの更新意向を尋ねたところ、どのプラットフォームでも回答者の7割は何らかの形で課題システムを更新したいとの意向を示した。「更新予定がない」との回答は全体の2割程度だった(図6)。
ただし更新意向はあっても具体的な計画にまで至らない回答者も多い。「更新したいが、まだ具体的な計画にはなっていない」がメインフレームでは全体の35.1%、オフコンやオープン系サーバーでは45%程度あった。
レガシーシステムの更新意向が具体的な計画に結びつかないのは、更新作業の難しさとも関係しているとみられる。システム更新における課題を尋ねたところ、「仕様書などのドキュメント化が不十分」が40.7%で最も多かった(図7)。保守全般の課題と同じくドキュメント問題が、システム更新の足かせになっている。
「更新すべきシステム資産が膨大すぎる」点を課題とする声も多かった。課題システムの保有者の37.3%が選択した。資産規模の悩みは企業規模が大きいほど深刻さを増す。従業員1000人以上の企業に所属する回答者に限ると、実に53.8%が課題として挙げた。
一方、好むと好まざるにかかわらずシステム更新を検討せざるを得ないこともある。ベンダーの都合である。別途、システム更新を検討するきっかけを尋ねたところ、「ハードウエアまたはソフトウエアの保守の打ち切り」が最も多かった。課題システムの更新意向がある回答者の53.0%が挙げた。