ARM系のアプリケーションプロセッサを開発しているメーカーはまだある。その多くが現時点では将来のロードマップを公開していない。というのも、PC用のプロセッサと違い、基本的にメーカーに対してしか詳細情報を公開しないためである。

 あるいは情報提供にあたってNDA(秘密保持契約)を要求するメーカーも多く、各社のWebサイトでも概要情報しか得られないことが多い。もっとも半導体ビジネスは、基本的には企業間で行われるものであり、米Intelのように詳細情報を一般にまで公開しているところの方が少数派ともいえる。

 その他のメーカーのうち、Cortex-Aシリーズのライセンスを受け、製品開発を行っているところは、米Freescale Semiconductor(旧Motorola社の半導体部門)とスイスST-Ericssonである。

Freescaleのi.MXシリーズはPalmが搭載していたDragonballがベース

図1●米Freescale Semiconductorは2コアまたは4コアのCortex-A9を搭載したi.MX 6を開発中である
図1●米Freescale Semiconductorは2コアまたは4コアのCortex-A9を搭載したi.MX 6を開発中である
Palmシリーズにも採用されたDragonBall(CPUコアはMC68000)から始まり、ARMコアになったときにi.MXシリーズという名称になった。
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 Freescaleの「i.MXシリーズ」は、「Dragonball」と呼ばれていた「MC68000」をベースにしたプロセッサで、旧米PalmのPDA「Palmシリーズ」で採用されていた。Palmシリーズは、のちにARMプロセッサへと移行するが、i.MXシリーズもARMコアへと移行し、i.MX6シリーズ(図1)では、Cortex-A9コアを採用する。

 同シリーズには、i.MX6 Solo/Dual/Quadの3タイプがあり、それぞれシングルコア、デュアルコア、クワッドコアとなっている。クロック周波数は1.2GHz以上、HDビデオのエンコード/デコード機能などを搭載するという。i.MX 6Soloだけがクロック周波数1GHzとなっているが、このプロセッサにのみ、新しいビデオ、3Dグラフィックスデバイスが搭載されているという。