(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
今回の回答者: 後藤 堅一 日本通信 プロダクトマーケティング 統括本部長 |
必要な技術基準を満たし、無線局免許を取得していれば、海外で買った携帯電話機でも国内で使えます。具体的には、(1)電波法に基づく「技術基準適合証明」と無線局免許、(2)電気通信事業法に基づく「技術基準適合認定」を取得する必要があります。
電波法では、国内で無線機器を運用するには無線局免許が必要と定めています。しかし、1台ごとに免許を取得するのは現実的ではありません。そこで、「技術基準適合証明」があります。この証明を取得していれば、同型の複数の端末について免許を1回にまとめて申請できるのです。これを包括免許といいます。
新しい携帯電話機の無線局免許を申請する際は、携帯電話機メーカーが技術基準適合証明を取得します。そのうえで、携帯電話事業者の包括免許にその携帯電話機も含まれることを証明します。
もう一つの電気通信事業法における「技術基準適合認定」は、端末が通信事業者のネットワークを損なったり、ほかのユーザーに悪影響を与えたりしないことを認定します。通信事業者はこの認定を得た端末に対して、自社のネットワークに接続することを拒否できません。
日本でソフトバンクモバイルが販売するiPhone 4にはSIMロックがかかっています。一方、当社が2010年8月に発売した「talking b-microSIM プラチナサービス」では、海外から輸入したSIMロックフリーのiPhone 4を使ってNTTドコモの3Gネットワークに接続します。この場合、アップルが技術基準適合証明と技術基準適合認定を、NTTドコモが無線局免許を取得しており、国内で使えるのです。
これまで海外の携帯電話機メーカーは、日本の技術基準の取得に熱心ではありませんでした。国内の携帯電話事業者と、携帯電話機の開発や流通の仕組みが密に結びつき、参入が難しかったためです。ただし近年では、NTTドコモがSIMロックフリー導入を打ち出すなど変化が出てきています。