ソーシャルネットワークが急速に広がったのは、スマートフォンの普及による影響が大きい。スマートフォンにより、いつでもどこでも自分の思ったことや感じたことを発信できるようになったからだ。最近では、ソーシャルの普及を受け、スマートフォンそのものもソーシャル機能を取り込み一体化する形で進化を始めた。
スマートフォンの普及がソーシャルを後押ししたのは間違いない。とはいえ、スマートフォン上でユーザーが使っているのは、あくまでユーザー自身でインストールしたアプリケーションだった。例えばTwitterだったら、Twitterが提供する標準アプリか、サードパーティのTwitterクライアントアプリをスマートフォンにインストールして使うのが一般的だった。同様に、Facebookも標準アプリやサードパーティのアプリで利用している人が大多数だろう。OSも含めてスマートフォンは、あくまでそれらのアプリを利用するための基盤となっているだけだった。
だが、ソーシャルネットワークが広まるにつれ、一歩進んでスマートフォンの基本部分もソーシャルを前提とした形に生まれ変わり始めている。代表的なのが、米マイクロソフトの「Windows Phone」だ。米アップルのiPhoneや米グーグルのAndroidに出遅れたWindows Phoneでは、ソーシャルとの密接な連携を巻き返しの大きなポイントとしている。
ここでは、マイクロソフトがWindows Phoneで推進する、ソーシャルネットワークとスマートフォンの新しい世界を見ていこう。
ソーシャルのアカウントをOSで標準設定する
Windows Phoneで設定を開くと、アカウントの部分でソーシャルネットワークのアカウントが標準で設定できるようになっている(写真1)。MicrosoftのWindows Liveだけでなく、TwitterやFacebook、LinkedInといったソーシャルネットワークのアカウントが設定可能だ。
ここでソーシャルネットワークのアカウントを設定するとどうなるのだろう。設定が終了するとバックグランドで同期が始まり、そのアカウントに紐づけられた情報をWindows Phoneに読み込んでくる。同期が終了してから、スタート画面上にあるWindows Phoneのアドレス帳「People」ハブを開くと、Facebook上の自分の友人たちに関する情報が一覧表示される(写真2)。
つまり、Windows Phone上では特に何も設定していないのに、Facebookの情報で自動的にアドレス帳ができてしまうのだ。そして、この情報はFacebookの情報とリンクしているため、情報が変わったときにも自分でメンテナンスをする必要はない。相手が自分のFacebook上の登録情報を修正すれば、自分のWindows Phone上に登録されている情報も自動的に修正される。このようにWindows Phoneでは、スマートフォンの基本機能であるアドレス帳が、ソーシャルネットワークと完全に連動しているのだ。