スマートフォンとソーシャルネットワークはもはや切っても切れない関係にある。スマートフォンの新製品発表会では、当たり前のようにソーシャルネットワークが登場し、その使いやすさや連携アプリなどが紹介される。個人が持ち運ぶ情報機器として、スマートフォンはノートパソコンよりも可搬性が断然優れ、なおかつ従来の携帯電話よりも情報発信、閲覧の両面で優れている。それゆえ多くのユーザーが、ソーシャルネットワークの入り口としてスマートフォンを活用しているのだ。

 ただ、ソーシャルネットワークが急成長したのはつい最近のことであり、現状は誰もが使っているわけではない。個人情報の扱いなどにも懸念が残る。最終回は少し趣を変えて、ソーシャルネットワークの普及が与える影響などを識者への取材を通して見ていこう。

写真1●KDDIは2011年秋冬の新製品発表会の様子。「SNSの使いやすさ」が製品の訴求ポイントの一つ
写真1●KDDIは2011年秋冬の新製品発表会の様子。「SNSの使いやすさ」が製品の訴求ポイントの一つ
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 2011年9月26日、前週末のiPhone発売報道が冷めやらぬなか、KDDIは2011年秋冬の新製品発表会を開催した(関連記事)。そのラインナップはAndroidスマートフォン6機種、従来型携帯電話3機種など。既に新商品の主役はスマートフォンである。そして、発表会の中で当たり前のように出てくる言葉が「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス、以下ソーシャルネットワーク)」だ(写真1)。「SNSをもっと使いやすくしたい」――。そのための端末がスマートフォンなのだ。

写真2●ソフトバンクモバイルの2011-12年冬春商戦向け新製品発表会の様子。SNS連携アプリを紹介している
写真2●ソフトバンクモバイルの2011-12年冬春商戦向け新製品発表会の様子。SNS連携アプリを紹介している
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 何もこれはKDDIに限った話ではない。携帯電話事業者の発表会では、もはや当たり前のようにTwitterやFacebookといったソーシャルネットワークの話題が登場する。KDDIの発表から三日後の9月29日、今度はソフトバンクモバイルが2011-2012年冬春商戦向けの新製品発表会を開催した(関連記事)。Androidスマートフォン9機種、従来型携帯電話1機種などが発表された。機種数からも明らかな通り、やはり主役はスマートフォンだ。

 そんな中、やはりソーシャルネットワークに関する言及もあった。例えばカメラ機能を重視したAndroidスマートフォンであるパナソニックモバイルコミュニケーションズ製の「LUMIX Phone 101P」の紹介では、同社が提供している「ピクチャジャンプ」機能を取り上げ、撮影した写真をタッチ操作でスムーズにTwitterやFacebookに投稿できることをアピールした(写真2)。製品説明にごく当たり前のようにソーシャルネットワークが登場するのだ。

 実際、スマートフォンにインストールされているアプリの中で、ソーシャルネットワーク用アプリの利用頻度は群を抜いて高い。Androidスマートフォンのアプリの利用状況を調査しているミログによると、1日あたりの起動回数が多いアプリとして、8位にFacebook、10位にTwitterの各クライアントアプリがランクインしている(約8万端末の調査、発表資料関連記事)。Facebookより上位にランクインしているのはブラウザーや「電話」「設定」、グーグル提供のアプリなどプリインストールの標準アプリであり、それを考慮するとFacebookやTwitterはスマートフォンに欠かせない存在になっていることが分かる。まさにスマートフォンとソーシャルネットワークは両輪といってもいい状況だ。