企業のIT環境がここ数年でがらりと変わってきている。その一つはクラウド、もう一つがモバイルだ。企業のソーシャル化にもこれらは欠かせない。ソーシャルネットワークはスマートフォンなどのモバイルデバイスによって利用が後押しされ、個人の声はクラウドに集約されるからだ。Facebook自身の社内システムの事例や米セールスフォース・ドットコムのプラットフォーム展開を通して、企業のソーシャル化に必要となるものを見ていこう。

 「ソーシャル」「モバイル」「リアルタイム」「オープン」――。これらは、企業の新しいITを支える動きとして、米セールスフォース・ドットコムが掲げたものだ(写真1)。同社のマーク・ベニオフCEOは「プラットフォーム自体が変わってきた」と語る。コスト削減や柔軟で素早い対応が求められる企業の業務の変化に合わせて、クラウド、そしてモバイルコンピューティングが導入されてきた。

写真1●「ソーシャル」「モバイル」「リアルタイム」「オープン」がこれからの企業のITを支える
写真1●「ソーシャル」「モバイル」「リアルタイム」「オープン」がこれからの企業のITを支える
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 この流れの中にソーシャルもある。クラウドとモバイルは、ソーシャルネットワークを広げる原動力になっている。ソーシャルネットワークは、クラウドによって規模の拡大を容易にし、モバイルによって普及を加速させてきた。個人はスマートフォンなどのモバイルデバイスからFacebookやTwitterを利用し、現場からリアルな情報を発信。こうした大量のリアルタイム情報はクラウドの中のデータベースに時々刻々と蓄積されていく。第1回に続き、セールスフォースがDreamforce '11の講演などで明らかにした戦略を通して、企業のソーシャル化を支えるプラットフォームなどを見ていく。

 まず最初に、米FacebookのCIOであるティム・カンポス氏が、Facebook社内の業務アプリケーションがどのような考えで構築されているのかをDreamforce '11で解説したので、以下で紹介していこう。