コントローラを手に持つことなくゲームを操作できる,Microsoft社の「Kinect」。Kinectが示したジェスチャー入力の可能性を追求する連載の第3回は,距離画像センサによるジェスチャー入力の制約を補う、様々なソフトウエア上の工夫を探る。

 高性能な距離画像センサを利用しても,やはりコントローラを使うジェスチャー入力技術に比べれば,検出の際にさまざまな制約が生じる。この制約をユーザーに感じさせないソフトウエアの工夫も,Kinectの重要なポイントである。それらを見ていこう(表2)。

表2 Kinectの課題と解決策の例。記事中で紹介した例を赤色で強調した。
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 検出性能の制約とは,主に①検出範囲が限られる,②遅延がある,③検出しにくい動きがある,といったものである。

  ①の検出範囲は,一般にコントローラを利用する場合に比べて狭い。Kinectでは,近赤外カメラ内にユーザーの全身が映らないとゲームを操作できない。カメラから近すぎても遠すぎてもいけない。

  Kinectの実際の検出範囲は水平方向で57度,垂直方向で43度,そして奥行き方向で1.2~3.5mとなっている。垂直方向の検出範囲を拡大するために,Kinectはセンサ搭載部を上下に動かすチルト機能を備える。

 Kinectを初めて利用する場合には,設置場所やプレー・エリアの調整などの初期設定が必要だ(図5)。ゲームのプレー中も,検出範囲からユーザーが外れると画面に警告が出る。

図5 プレー・エリアへユーザーを誘導
Kinectでジェスチャー操作を可能にするためには,ユーザーがその検出範囲にいる必要がある。まず,Kinectの設置場所やプレー・エリアの調整といった初期設定を行わなければならない(a)。ゲームのプレー中も,検出範囲から外れると警告が出る(b)。
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 警告の仕方はゲームごとに異なる。例えば,検出範囲から外れると画面上に警告文を出したり,画面全体を切り替えてプレー・エリアに戻るように指示を出したりする。