ソニーが販売しているAndroid 3.x搭載の最新タブレット端末「Sony Tablet S」(写真1)。本連載は、「実際に製品を購入したユーザー」と「Android関連の記事を継続的に執筆している記者」という二つの視点から、同機の使い勝手や機能などを徹底検証するコラムである。

写真1●購入後、1週間ほど経ったSony Tablet S(SGPT111JP/S)。毎日片時も手放さずに使っている
[画像のクリックで拡大表示]

 レビュー第1回(「片手で楽々持ち運べる大画面」、話題のソニータブレットを触ってみた)では、購入直後のファーストインプレッションとして、持ちやすさなど実際の使用感や屋外での視認性、画面のキャプチャ方法などを紹介した。

 2回目となる今回からは、一歩踏み込んでSony Tablet Sが備える特徴的な機能について個別に詳しく見ていこう。今回は具体的に、「電子書籍リーダー」としての使い勝手や、同機の目玉機能の一つとなっている「クレードル連動機能」の動作確認、高画質であることを売りとしているカメラ機能の実力チェック結果などをお届けする。

独自機能「サクサク・エクスペリエンス」を試す

 今回は、手始めにSony Tablet Sが大きな売りの一つとしている「サクサク・エクスペリエンス」という操作感向上のための独自機能を確認するところから始めよう。同機能は、指で画面をタッチする際の応答性やスクロールの動きといった「実際のユーザーの使用感」を高めるための仕組みである。(1)操作への反応を速めること、(2)ユーザーが実行したい操作を最短手順で実行できるようにすること---という2点を重視して同機能を設計しているという。

 例えば後者については、「ホーム画面の操作」などでそうした設計思想を垣間見ることができる。Sony Tablet Sのホーム画面は、左右にスクロールすることで合計五つの画面を切り替えて表示できるようになっている。このとき、さっと指でスクロールすると1画面ずつ移動するだけだが、ゆっくりと指を動かすことで最大5画面分を指を戻すなどの操作をせずに一気に移動できるように作られている。

 また、ホーム画面上に指を置いて1秒程度動かさずにいると、5画面分のサムネイル画像が表示されて任意の画面に直接ジャンプしたり、指を置いた場所にアプリのアイコンやウィジェットを配置したり、壁紙を変更したりするためのメニュー画面が表示されるようになっていたりもする(写真2)。このメニュー画面自体はAndroid標準のものだが、他の端末では画面右上隅のアイコンなどから呼び出す必要があり、Sony Tablet Sの方が手順が簡単になっている。

写真2●画面の長押しで任意の画面に直接移動したりアプリのアイコンを配置したりできるメニュー画面が表示される
[画像のクリックで拡大表示]

 本機特有の操作となるため多少の慣れは必要だが、慣れてくればこうした細かい部分の使い勝手の良さを快適と感じるようになるだろう。筆者の場合、単体で触っているときはそれほど感じなかったが、この後登場する別のAndroidタブレットを触ったとき、「おや、あの操作ができるのはソニータブレットだけなのか」と細かい部分の使い勝手の良さを改めて実感できた。

 ただ、こうした細かい部分の使い勝手向上策を文章でクドクド説明してもあまり面白くない。ユーザーにアピールするという点で、サクサク・エクスペリエンス機能の特徴が最もよく分かるのは「Webアクセス時の挙動」である。標準のWebブラウザーを使って通常のWebページを表示するだけでその違いが簡単に実感できるという話なので、実際にどんな感じなのか試してみた。

 違いを確かめるためには、比較用に他のAndroid3.x搭載タブレット端末が必要となる。そこで、知人から台湾エイサーのAndroid 3.1搭載タブレット「ICONIA TAB A500」を借りて比較した(写真3)。ICONIA TAB A500が癖のない標準的なタブレット端末であることに加え、どちらもCPUに米NVIDIAのモバイル向けデュアルコアプロセッサ「Tegra 2」(動作周波数は1GHz)を搭載し、メインメモリーが1Gバイト、ストレージ容量も16Gバイトと同じなので比較するのにピッタリである。

写真3●Sony Tablet S(左)と知人に借りたAndroid 3.1搭載タブレット「ICONIA TAB A500」(右)
どちらも画面の明るさを最大にして比較してみると、Sony Tablet Sの方がかなり明るいことが分かる
[画像のクリックで拡大表示]