東日本大震災による地場企業へのダメージの全容はまだはっきりしていないところがある。2011年9月下旬の時点で、東北地方における地場の中小企業の倒産件数はさほど大きな数字にはなっていないが、これは国税の納付猶予措置社会保険料の納付猶予措置不渡報告への掲載猶予といった措置の効果である可能性が高い。

 実際、帝国データバンクの9月8日付リポート東京商工リサーチの9月9日付発表資料によれば、直接被害を受けた東北地域での倒産件数がまだ比較的少ないのは、救済措置の効果だという。しかしこれらの措置は秋から冬にかけて徐々に終了していく。地場企業の廃業や経営者の自己破産は、これから本格的に顕在化してくる見通しだ。

 そんななかで政府は今後、第三次補正予算や、2012年度概算要求の検討を進めていくことになる。

 ICT関連では、内閣の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(通称、IT戦略本部)が8月上旬に明らかにした「新たな情報通信技術戦略(通称、新IT戦略)工程表改定案」や、自民党がやはり8月上旬に発表した「デジタル・ニッポン2011絆バージョン~復興、そして成長へ~」などが、議論のベースになるという。

民主・自民両党の被災地支援のスタンス

 そこでインターフュージョン・コンサルティング代表取締役会長の奥井規晶氏は、与野党の復興ICT政策を徹底比較した。共に増税に見舞われる予定である皆様も、奥井氏による比較記事を読みつつ、復興政策を考察してみてほしい。

 奥井氏によれば、残念ながら民主党案には、政局の混乱を背景とした余裕の無さや、通信分野への偏りなどが見受けられる。だが自由民主党案は、ITベンダーへのヒアリングや、グローバルな知見の反映などをきちんと行った結果、政策として取り入れるべき点が多いという。このため予算化に当たって与野党連携を進めるべきだと奥井氏は強く主張している。

与野党は連携せよ!奥井規晶が復興ICT政策を斬る

第1回 デジタル・ニッポンの衝撃

第2回 インフラ重視の民主党案、安心・安全重視の自民党案

第3回 民主党案には政策を練る余裕の無さが透けて見える