インターネットイニシアティブ(IIJ)は、ITpro EXPO 2011の展示会で「仮想デスクトップサービス」を中核としたクラウドの本格活用をテーマとした展示を実施する。迫り来る「私物解禁」(BYO)時代に向けて、社員が私物のモバイル端末をビジネスで安全に利用できるようにする支援サービスなどを展示。サービスを利用するユーザー側の目線でBYOを実体験できる仕掛けなどを用意する。


写真●IIJの展示ブース(イメージ図)
写真●IIJの展示ブース(イメージ図)
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 「これまでIT関連の展示会では、主にIT部門の管理者など“情報を管理する側”に向けた情報発信がほとんどだった。だが、今回のITpro Expoではサービスを利用する側である社員の視点からも展示内容を存分に楽しめるよう工夫を凝らしている」---。そう語るのはインターネットイニシアティブ(IIJ)の今井健マーケティング本部企画部1課長だ。

 IIJはITpro Expo 2011展示会で、同社の仮想デスクトップサービス「IIJ GIO 仮想デスクトップサービス」を中核に据えた、クラウドソリューションの総合的な展示を予定している。“私の仕事場(仕事をするための環境)はクラウドにある”というコンセプトの下、どんな端末でも(Any Device)、どんなネットワーク環境でも(Any Network)、どんなアプリケーションでも(Any Application)つながるという「トリプルA」(AAA)を実現する様々なソリューションを展示する。

 白およびグレーを基調とした展示ブース(写真)には、コーポレートロゴと並んで同社のクラウドサービスのブランド名である「IIJ GIO」が大きくかつ鮮やかな赤色でいくつも描かれる。クラウドソリューションの展示が中心であるということを、来場者に強く印象付けるデザインとなっている。

仮想デスクトップサービスの展示に注力

 IIJは、今回のITpro Expo 2011の展示内容への“力の入れ具合”について、「全体を100とすると、80以上が仮想デスクトップサービスになる」と説明する。それほど仮想デスクトップサービスに並々ならぬ力を注ぐのは、現実に企業ユーザーの仮想デスクトップサービスへの関心が急速に高まっているからにほかならない。

 「2011年に入ってから、特に震災以降において、仮想デスクトップサービスに対する企業ユーザーの関心が日増しに高まっているのを肌で感じている。テレワーク(在宅勤務)やBCP(事業継続計画)対応、震災対応などの観点から仮想デスクトップ導入の必要性を強く認識し始めたためだろう」(今井氏)。実際に、IIJへの問い合わせ件数も2011年に入ってからうなぎ上りに増えているという。

 導入目的や問い合わせ内容自体も変化しつつあると今井氏は指摘する。「仮想デスクトップといえば、以前は主にTCO(Total Cost of Ownership)の削減がキーワードだったが、最近では『生産性向上とリスク低減』を主な目的として導入を検討するケースが増えている。リスク低減といっても、情報漏洩対策などのセキュリティ目的ではなく、よりBCP的な意味でのリスク低減目的が多い。問い合わせ内容についても、以前は『古いPCをリプレースしたい』といった話が多かったが、最近では導入することを前提に各社のサービスを比較したいといった具体的な話が増えてきている」(同氏)。

 IIJが提供しているIIJ GIO 仮想デスクトップサービスは、米シトリックスの「Xen Desktop」と「Xen App」をベースとしており、Windowsアプリケーションをクラウド経由で利用できるようにするというサービスである。「Xen Desktop/Xen Appを使う限り、競合他社のサービスでもできることは基本的に同じ」(IIJ)だが、「市場に出ている仮想デスクトップ製品のほとんどはオンプレミス型。ブースを訪れれば、そうした中でIIJがクラウド型の仮想デスクトップサービスとして提供していることの強みやメリットを実感できるだろう」(同)と自信を見せる。

 具体的に、IIJがクラウド型仮想デスクトップサービスのメリットとして挙げているのが「周辺クラウドサービスとの親和性や使い勝手の良さ」である。展示ブースでは、仮想デスクトップサービスと関連サービスを連携させることにより、「いつでもどこでも自分専用に用意された仕事環境をクラウド経由で利用できる」ことを実際に体験できるデモなどを用意する。