トレンドマイクロ 取締役 エグゼクティブバイスプレジデント 日本地域担当 エグゼクティブバイスプレジデント アジア・ラテンアメリカ地域営業推進担当 大三川 彰彦 氏
トレンドマイクロ
取締役 エグゼクティブバイスプレジデント 日本地域担当
エグゼクティブバイスプレジデント アジア・ラテンアメリカ地域営業推進担当
大三川 彰彦 氏

 コンピュータウイルスが登場したのは1988年のことだ。以来、ITの利用環境の変化に伴って、コンピュータウイルスも様々な変遷を遂げた。トレンドマイクロは、それぞれの時代のコンピュータの利用環境の変化に歩調を合わせて、絶えず姿を変えるセキュリティ上の脅威に対抗するため、常に先進的なセキュリティソリューションを提供してきた。

 クラウドコンピューティングの時代を迎え、セキュリティ対策のあり方に再び大きな変化が訪れている。背景には、ネットワークの境界線の概念の変化がある。クラウドによるITインフラの分散化で、データを保存する場所、利用する場所、流れる経路が変わるだけでなく、CPUやメモリーなどが仮想化によって共有型になるなどハードウエアリソースの使われ方もこれまでの環境と大きく異なってきた。

 そうした観点から、現在、企業が直面するセキュリティ上の課題は次の4つに集約できる。すなわちITインフラストラクチャーの見直し、クラウド時代のデータ保護、新たなデバイス群への対応、コンプライアンス対策である。

企業が直面する新たな課題
企業が直面する新たな課題
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物理環境だけでは不十分 仮想サーバーでも対策は必至

 1つ目の課題、ITインフラの見直しについては、仮想化とクラウド対応という2つのポイントを踏まえた対策の検討が必要になる。

 仮想化に関しては、本来、物理サーバーと同じく仮想サーバーもセキュリティ対策が必要になる。しかし、これがなおざりのケースが多い。また、それぞれの仮想サーバーにおけるOSやアプリケーションのパッチ管理も困難になっている。さらに仮想化という観点では、デスクトップ仮想化のセキュリティ対策をどう講じるかという点も課題だ。

 これに対し、トレンドマイクロはサーバー仮想化や仮想デスクトップサーバー環境に対応した「Trend Micro Deep Security」や仮想デスクトップクライアントに対応した「ウイルスバスター Corp.Client」を提供し、仮想化環境で浮上するセキュリティ上の一連の問題を総合的に解消している。

 クラウド対応についても対策を講じている。重要なデータをクラウド上に預けることに懸念を抱くユーザーは多い。クラウドサービスの事業者も、ほとんどの場合、データの保護をユーザーの責任に帰す旨をSLA(サービス・レベル・アグリーメント)で示している。このため、クラウドに最適化したデータ保護対策が必要になる。それを解決するため、トレンドマイクロが提供しているのが「Trend Micro SecureCloud」である。この製品では、クラウド上に保存するデータを自動的に暗号化・復号化する機能や暗号鍵のポリシーベース管理機能などを搭載している。

 次に2つ目の課題、クラウド時代のデータ保護についてみてみる。情報漏えいには、外部からのハッキングによるものと内部の不正やミスによるものがある。この2つを解決するには、それぞれ異なる対策が必要だ。

 このうち、外部からのハッキングには、Trend Micro Deep Securityにあるシステムの脆弱性スキャンや仮想パッチを使った防御、あるいはバックドアやボットを仕掛けられた際に振る舞い検知によって挙動を監視するといった「Trend Micro Threat Management Solution」で提供する方法が効果的だ。

 片や、内部の不正やミスを防ぐには、USBなど外部記憶媒体へのデータ複製操作の制御、ネットワーク上で漏えいを監視する仕組みなどの導入も必要となる。どちらも「Trend Micro Data Loss Prevention」が提供している機能だ。

加速度的に普及のモバイル端末 セキュリティ対策が急務に

 そして3つ目の課題、新たなデバイス群への対応の背景には、Android端末やiPhone、Windows Mobile端末、Blackberryといった様々な端末が企業内に急速に普及しつつあることがある。こうしたデバイスのセキュリティ対策は普及する速度に追いついていないのが現状だ。その解決策がスマートフォン向けセキュリティ対策製品の「Trend Micro Mobile Security 7.0」。ウイルス対策やURLフィルタリングをはじめ、リモートロックなどの機能をオールインワンで提供し、企業の管理者が集中管理するための仕組みも装備する。

 最後の課題、コンプライアンス対策に関して、問題となるのは通常のセキュリティ対策の適用が難しくなるケース。具体的には、セキュリティ意識やITリテラシーが大きく異なる海外拠点のマネジメント、組み込み機器や専用端末といった通常のウイルス対策ソフトをインストールできない環境、管理者が不在の遠隔地の事業所などでの対策だ。トレンドマイクロはUSBメモリー型でインストール不要のウイルス検索・除去ツール「Trend Micro Portable Security」を提供し、こうした課題の解決にあたっている。

 トレンドマイクロは、今後もクラウドや仮想化といった新たな環境でお客様が利便性を損なわず、安全・安心にITを利用していくためのセキュリティソリューションのブラッシュアップに努めていきたい。