女性用下着メーカーのシャルレも、震災を契機にITベンダーとの「絆」を再認識した。「ユーザー企業の業務を、ITベンダーがどれだけ深く知っているか。それこそが絆の太さだ。絆が太ければ、有事に素早く対応できる」と高田博祐管理本部情報システム部長は強調する。

 シャルレの本社は神戸市にある。だが、埼玉県にある国内最大の配送センターが、東日本大震災の影響を受けた。棚から商品が落ちたり水浸しになったり、エレベーターが動かなくなったりした(写真)。さらに「様々な情報が錯綜し、配送状況などが分からなくなっていた」(高田部長)。

写真●被災したシャルレの埼玉倉庫
写真●被災したシャルレの埼玉倉庫

 受注と出荷のサイクルや配送トラックの状況といった情報は、すべてシステム部門が管理している。そこでシャルレ本社にあるシステム部門が、災害対策本部となった。「どこの配送センターを使うのか」「トラックの状況は」「どれだけの商品がダメになったか」といった情報を素早く把握して次の手を打つには、既存のアプリケーションに手を加える必要があった。データを人手で変更するイレギュラーなケースもあった。

 ここで力を発揮したのが、10年前にシステムを構築したNEC関西支社のベテラン技術者たちだ。NECはシャルレの基幹システムの開発にかかわったベテラン技術者を集め、優先的にシャルレの緊急対応に割り当てた。「業務の流れやシステムに精通していたからこそ、すばやくアプリケーションやデータを修正できた。正直、自分たちだけでは対応できなかった」と、高田部長は話す。

 最後に、今回は大きく取り上げられなかったが、被災したユーザー3社からのベンダーへの感謝の言葉をまとめてお伝えしたい。