ベンチャーキャピタルから得た1万~25万ドル程度の少額出資を元手に、3カ月程度と短期の“試行考錯誤期間”を経て生まれる「Lean Startup」。その背景にあるのは、世界共通で使えるスマートフォンやクラウド環境の広がりである(図1)。スマートフォンとクラウドが、起業を目指す人たちの実践の場となり、ビジネスモデルや実装したサービスの検証を簡単にできる環境が整ってきたのだ。

図1●Lean Startupが登場する背景

きっかけはiPhoneとApp Storeの登場

 トヨタカンバン方式を起源とする「リーン生産手法」に由来する「Lean Startup」という呼び名。Lean Startup Japanを運営する和波俊久氏によれば、この呼び名が使われ始めたのは2008年ころ。iPhoneが登場した翌年であり、iPhone向けのアプリ流通市場「App Store」が始まった時期でもある。

 iPhoneを追うように登場したAndroidベースのスマートフォンの広がりも、Lean Startupの動きを加速している。実際、米国の500スタートアップスYコンビネーター、日本のブレークスルーキャンプ関連記事)といったベンチャー育成の取り組みで開発されているサービスには、スマートフォン向けのものが多い。

 世界市場を目指すソフトウエア開発者にとってみると、iPhoneやAndroidの登場によって世界市場のハードルは格段に低くなった。開発面では、OSが異なるメーカーごと、機種ごとのアプリ開発負担が大幅に減った。iOSやAndroidなど世界中で使われるソフトウエアプラットフォームの登場により、開発面での効率化が図られたわけだ。