「ITでできることは、まだまだたくさんある」。2011年9月16日、開発者向けイベント「X-over Development Conference 2011(XDev2011)」で復興をテーマにしたセッションが開催された(写真1)。震災情報集約サイト「sinsai.info」の嶋坂紀隆氏と、復興アプリ開発支援コミュニティ「Hack for Japan」の山崎富美氏が「復興のために技術者がやったこと、これからできること」と題して講演した。また展示ブースでもsinsai.infoとHack for Japanの活動やアプリの紹介が行われた(写真2)。

写真1●復興をテーマにしたsinsai.infoとHack for Japanのセッション
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写真2●sinsai.infoとHack for Japanの展示ブース
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300人以上のボランティアが参加するsinsai.info

写真3●sinsai.infoのWebサイトとAndroidアプリ
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 sinsai.infoは、震災関連情報を集約して地図上に表示するサイトだ(写真3)。被害状況や避難所、雇用情報など現在までに1万件以上の情報が登録されている。これらの情報は、人手で整理、確認して掲載している。「技術者以外にも情報を整理するボランティアが多数参加しており、その数は300人以上になる」(嶋坂氏、写真4)。その多くはTwitterなどを通じた呼びかけで集まった。

 sinsai.infoは3月11日、東日本大震災発生後4時間足らずで開設されたことでも知られる(関連記事)。短時間で立ち上げることができた理由は、オープンソースソフトウエアのUshahidiを利用したためだ。Ushahidiは、もともと、ケニアで選挙の不正を監視するために開発されたシステムだ。ハイチ地震やニュージーランド地震の際に災害情報集約システムとして利用された実績があるため、すぐにサイトを立ち上げることができた。

写真4●sinsai.info インフラ班/法務班 班長 嶋坂 紀隆 氏
写真4●sinsai.info インフラ班/法務班 班長 嶋坂 紀隆 氏

 しかし、sinsai.infoのメンバーは日本語環境での問題や押し寄せる大量のアクセスなどにも直面した。インフラの責任者である嶋坂氏はこれらの問題を解決するために奮闘した。

 嶋坂氏は「プログラムやデータベースに詳しい技術者でなくともできることはある。復興はまだまだ続くので、それに合わせて必要とされるものも変わってくる。技術者視点ではない視点も必要。ぜひsinsai_infoに参加してほしい」と呼びかけた。