準グランプリ

 ヤマトホールディングスは、次世代サービス基盤「第7次NEKOシステム」と新型プライベートクラウドへの取り組みで準グランプリを受賞した。これまで難しいとされてきた「サービス品質の向上」と「コストダウン」を両立した点が高く評価された。

 ヤマトホールディングスは1974年の第1次NEKOシステム以降、5~7年に一度のペースでシステムを刷新してきた。第5次までは合理化・省力化、第6次以降はサービス品質の強化、がテーマになっている。

図1●「第7次NEKOシステム」の概要
図1●「第7次NEKOシステム」の概要
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 約300億円を投じて構築した第7次NEKOシステムには、三つの狙いがある。「顧客サービスの向上」「安全運行とCO2排出量の削減」「配達員の利便性向上」だ(図1)。これらを実現することでサービス品質を高めつつ、業務コストを削減する。

 例えば、2010年2月に開始した「クロネコメンバーズ宅急便受取指定」では、顧客に到着予告メールを送信する。その後、顧客はWebサイトを通じて配達時間帯や場所を変更できるようにした。

 顧客は自分の都合に合わせて荷物を受け取れるメリットがある。ヤマトにとっては、1回の配送で確実に届けられるため業務効率が上がり、コストも大幅に下げられる。ITを駆使したからこそ実現できる取り組みといえる。

ITベンダーと共同開発

 先進的な技術を採用して独創的な仕組みを作る点も評価された。同社が構築中の新型プライベートクラウドの「ヤマトクラウドプラットフォーム」である。

 同プラットフォームは、ヤマトシステム開発のデータセンターにサーバーやストレージを設置する。しかし、ヤマトはCPUやメモリーの使用量に応じて月額料金を支払う点が、一般的なプライベートクラウドと異なる。

 自社運用の安心感とクラウドによる変動費化の「いいとこ取り」をするために、ヤマトシステム開発が富士通と共同で新しい形態のクラウドサービスを生み出した。このプラットフォームをヤマトホールディングスのグループ各社が利用することで、基幹系システムの運用・保守コストを約3割削減できるという。