セキュリティ機能を強化したスマートフォン用Webブラウザーが2011年7月以降、相次いで登場している。アイキューブドシステムズ、ジェーエムエーシステムズ(JMAS)、富士通などが、企業向けに提供を始めた。

 スマートフォンからWebアプリケーションを利用する場合に使う。主な機能は、キャッシュをスマートフォンのメモリー上に残さない機能や、URLフィルタリングの機能だ。標準ブラウザーは無効にしておく。これにより、端末を紛失した場合の情報漏洩や、不正なWebサイトを介したウイルス感染のリスクを低減できる。

 セキュリティポリシーは、あらかじめIT担当者が設定しておく。アイキューブドシステムズの「SecuredBrowser」では、ポリシーを設定、配布する管理サーバーをクラウド上に用意し、サービスとして提供する()。IT管理者が、キャッシュ消去機能を利用するかどうかや、アクセス禁止先(ブラックリスト)またはアクセス許可先(ホワイトリスト)を設定する。そのポリシーをスマートフォンに配布する仕組みである。ユーザーの使用履歴を管理サーバーに収集する機能もある。

図●SecuredBrowserがWebサイトへのアクセスを制御する仕組み
図●SecuredBrowserがWebサイトへのアクセスを制御する仕組み

 現時点でiPadに対応済み。Androidにも対応予定だ。料金は、1台当たり年間2520円、管理サーバーが年間2万5200円である。

 JMASの「モバイルセキュアブラウザ」は、管理サーバーを使わない。ポリシー設定用ソフトウエアを無償で提供する。IT管理者はこのツールを使ってポリシー定義ファイルを作成。それをモバイルセキュアブラウザに組み込んで、従業員などに配布する。

 Webサイトへのアクセスは、ホワイトリスト方式で制限する。Android、iPhone/iPadに対応。価格は1端末当たり2940円だ。

 富士通の「携帯ブラウザ接続サービス」は、社内LANへの接続時に使う点が他社製品とは異なる。同社の「FENICSブラウザ」を起動すると、まず富士通のデータセンターにあるゲートウエイに接続。認証に成功すると、富士通データセンター経由で社内LANにあるWebサーバーにアクセスできるようになる。インターネットへの接続には使用できない。Android、iPhone/iPadに対応し、300ユーザーで月額15万2775円である。