どんなにシステム開発工程の標準化が進んだとしても、多かれ少なかれ“Art”の領域は残る。平たく言えば開発者個人の「経験」「力量」に依存する部分である。

 設計書の作成もそうだ。設計書の標準フォーム(ひな型)があったとしても、そこに「設計意図が正しく伝わる文章や図表」を書き込めるかどうかは、設計者の腕による。この領域には絶対的な“正解”や“ルール”は存在せず、システムの特性や関係者とのコミュニケーションレベルなど、様々な要因によって最適解は変化するだろう。

 連載『意図が伝わる設計書作成の心得』では、実際の失敗例を通して「意図の伝わる設計書の書き方」のポイントを紹介している。プロジェクトの状況を踏まえた上で、どんな設計書ならコミュニケーションツールとして最適なのか、一緒に考えてみてほしい。ここで論じている内容は、決して文章力や図解テクニックの話ではない。「設計者の基本的な心得に依存するもの」と連載の著者は述べている。

連載目次

第1回 行きすぎた技術志向

第2回 思惑のすれ違い

第3回 忘れられた検討事項

第4回 記述レベルの罠

第5回 テンプレートの弊害

第6回 意思疎通の不足

第7回 感情的なもつれ