ネットワーク機器のOSって何をしているの?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
河本 敦弘
ネットワンシステムズ
サービス事業推進グループ
サービス推進本部
ネットワークアカデミー 第1チーム

 LANスイッチやルーターといったネットワーク機器はハードウエアの処理が中心に思えるかもしれませんが、ソフトウエア的にやっていることもたくさんあります。それらソフトウエアの挙動を司るのが、ネットワーク機器のOS(Operating System)です。ネットワーク機器のOSの基本となる機能は、データをできるだけ効率よく転送する、というものです。ネットワーク機器を動かす最低限の機能しか持たないソフトウエアの場合は、OSではなくファームウエアと呼ばれます。

 身近なOSにパソコンのOSがあります。パソコンのOSとネットワーク機器のOSで最も異なる点は、アプリケーションソフトの有無です。パソコンの場合はアプリケーションソフトをOS上にインストールして使いますが、ネットワーク機器に表計算ソフトや3Dグラフィックスソフトをインストールして使うことはありません。アプリケーションによって様々な機能を提供するパソコンは汎用機です。一方、専用機であるネットワーク機器における機能の追加は、基本的にアプリケーションソフトではなくOSのアップデートで行います。

 また、パソコンの場合はメーカーが違っても、同じマイクロソフトのWindowsが使われていたりします。しかしネットワーク機器のOSは、機器ベンダーによって異なります。シスコシステムズの機器は同社のIOSを、ジュニパーネットワークスの機器は同社のJUNOSを、といったように各社独自のOSを載せています。

 同じベンダーでも、LANスイッチ用のOSとルーター用のOSで異なるものを搭載するケースがあります。LANスイッチのOSはMACアドレステーブルを基にしたスイッチング機能を提供します。ルーターのOSはルーティングテーブルを基にしたルーティング機能や、ルーティングプロトコルを使って経路情報を交換する機能などを提供します。さらに同じベンダーのルーターでも、上位モデルと下位モデルでOSの機能が異なることもあります。