Windows Azure Platformは、ホスティング環境を担う「Windows Azure」、データベースを担当する「SQL Azure」、オンプレミスアプリケーションと接続する「AppFabric」から構成される。前回までに、ホスティング環境の構築とWebアプリケーションのデプロイを解説して「Windows Azure」の基本は理解していただけたと思う。

 今回からは「SQL Azure」へと駒を進めることにする。SQL Azureはマイクロソフトのデータベース管理システムである「SQL Server」と互換性があると言われている。まずは、SQL Azureの概要説明から始めて、具体的なデータベースの作成方法までを解説しよう。

SQL Serverのクラウド版「SQL Azure」

 SQL Azureは、Windows Azure Platformの中で、クラウドデータベースを担当する。SQL Azureのデータベースは、SQL Server 2008 R2と互換性があり、アプリケーションからは「Transact-SQL(以降T-SQL)」というSQL言語を使ってデータを操作できる。

 これはWindows Azure Platformのサービス全般に言えることだが、SQL Azureもインターネット上のクラウドサービスとして提供される。そのためユーザーが、物理的なファイルシステムに直接アクセスすることはできない。その代わり、これまでシステム管理者の負担だった「データベースサーバの構築」、「ソフトウエアの更新」、「障害の検知と対応」といった作業から解放されることになる。

 SQL Azureは、その名が表すように「データベース」が基本機能となる。それ以外に、2011年8月時点で「Data Sync(データベース同士の同期機能)」と「レポーティング(テーブルやチャート、地図などの生成機能)」という2つの機能が、正式提供前の「コミュニティ・テクニカル・プレビュー(CTP)」として提供されている。これら2つの機能は、今後正式にサービスが開始される予定だ(図1)。

図1●SQL Azureの構成要素<br>Windows Azure Platformは、ホスティング環境である「Windows Azure」、オンプレミスアプリケーションと接続する「Windows Azure AppFabric」、クラウドデータベースの「SQL Azure」で構成される。 「SQL Azure」は、基本となる「データベース」機能に加えて、今後は「レポーティング」や「Data Sync」などの機能も拡張される予定。
図1●SQL Azureの構成要素
Windows Azure Platformは、ホスティング環境である「Windows Azure」、オンプレミスアプリケーションと接続する「Windows Azure AppFabric」、クラウドデータベースの「SQL Azure」で構成される。 「SQL Azure」は、基本となる「データベース」機能に加えて、今後は「レポーティング」や「Data Sync」などの機能も拡張される予定。
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