ITや通信技術(ICT)を電力網に応用することがスマートグリッドだが、最低限電気と電力網(電力系統または系統)の性質を知らなくては応用できない。電気や電力網に関しては、様々な本やネット上での情報があるが、どれを選んでよいのか悩ましいところだ。何か1冊短いレポートでICT技術者用の説明があればよいのだが、なかなかそういったものはない。

 今回の記事の趣旨は、電気と電力網の最低限の特徴を、時間をかけずにICT技術者に理解してもらうことである。電気の専門家ではないICTの技術者が電気や電力網の性質を理解し、ICT技術の応用や新たな技術開発で発電や送配電の信頼性の向上や安定化を助けるためのへのヒントになればという意図で書いている。数式を使用せずに概念的に電力の特徴を説明する。意図的に説明を簡易にしているので、必ずしも科学的に厳密な正しい説明ではない。その点はあらかじめ了承されたい。

 Q&A形式で進めていく。以下に質問をまとめた。

■電気の流れ
Q1. 電気はどうやって発電所からコンセントまで流れるのか。
Q2. 再生可能エネルギーで発電された電気だけを買うことはできるのか。つまり、電気はA地点からB地点と決めて流すことを制御できるのか。

■電気の貯蔵
Q3. 電気は貯められないというのは本当か。

■電力供給の安定
Q4. 需要と供給はどうやって制御するのか。
Q5. なぜ電力の需要と供給のバランスが崩れると発電機が停止したりして停電が起こるのか。
Q6. なぜ送電網で何箇所もの発電所をつなぐのか。分散型発電との関連はどうか。
Q7. なぜ電力会社は再生可能エネルギーによる電力を自前の送電網に接続するのをためらうのか。