今回は、平成23年度春期(特別)の応用情報技術者試験の午後試験を詳しく分析するとともに、午後試験への取り組み方について説明しましょう。

 平成23年度春期(特別)の午後問題の内容を具体的に見ていきます。

問1 経営戦略(業務のアウトソーシング)

 アウトソーシングのメリット・デメリットや委託先の選定に関する問題です。午前問題レベルの知識があれば、十分な点数が期待できます。前回と同様、難易度は低いといえるので積極的に解答したい問題でした。ただし、制限字数が40字以内と、応用情報にしてはやや長い設問が2か所あります。記述のトレーニングは必要です。

問2 プログラミング(集計表をHTMLに変換して出力するプログラム)

 アルゴリズムとしての難易度は低い問題です。HTMLに関する知識がなくても類推は可能です。しかし、現実には知識がないとプログラムを1行ずつ追っていくことになり、時間的に厳しいものがあるでしょう。

問3 経営戦略(事業継続計画(BCP))

 災害発生に備えるための計画の問題です。特に知識がなくとも問題文を良く読むことで十分度解答できます。バックアップセンタがリスクの回避か低減かというあたりで迷うこともあったかと思われます。

問4 システムアーキテクチャ(非機能要件の定義)

 非機能要件という位置づけですが、実際には性能計算が主となっていました。計算問題は容易ですが、後半の設問は問題文の理解を要求しています。

問5 ネットワーク(リバースプロキシサーバの導入)

 リバースプロキシや静的アドレス変換に関する知識が必要です。ただ前回に比較するとやや難易度は下がりました。URLパスに「login.html」を書き落とした方も多かったかもしれません。

問6 データベース(データベースの設計と実装)

 SQLを中心とした出題です。SQL自体は新しい構文も複雑な条件もなく、解答は容易でした。最後の設問にある「どのような商品を購入したときにこの問題がおきるか」が、見つけられるかどうかが分かれ目となるでしょう。

問7 組込みシステム開発(LEDを使用したディジタル時計の設計)

 レジスタの設定値や使う配列名などを聞かれる出題がありました。知識よりも論理的思考を問われる問題だったといえます。組込みを選択する受験生は少ないと思われますが、プログラミングの得意な方なら予備知識がなくても解答可能なため、選択の最後の手段として捉えるのもいいかと考えます。

問8 情報システム開発(ゴルフ用ナビゲーションシステムのオブジェクト指向設計)

 クラス図やシーケンス図の穴埋めを中心とした出題です。問題文や設定にやや分かりにくい記述があり、処理を把握するのが難しかったのではないかと考えます。要求される知識は難しくないものの、読解力を要求される問題でした。

問9 セキュリティ(サーバへのサイバー攻撃対策)

 サイバー攻撃の種類やフィルタリングテーブルに関する知識が必要です。どちらも午前レベルではありますが、午後ではそれらを組合せたり、応用したりして答える必要があります。一般にネットワークやセキュリティは前提となる知識がないと、手も足も出ない問題が出題されますので、問題を通して知識を整理しておくと良いでしょう。

問10 プロジェクトマネジメント(ERPパッケージの導入検討)

 前回に続いてパッケージの導入に関する問題でした。解答のヒントは問題文にすべて記述されています。マネジメントやストラテジ系の午後問題は、知識よりも読解と記述を要求しているといえるでしょう。トレーニング次第で向上する能力です。

問11 ITサービスマネジメント(システムの変更管理)

 ITILをベースにした変更管理の問題です。これはITILに関する知識がないと答えるのは難しいでしょう。ITILについては、午前の出題も増えているため、用語レベルでの知識の整理が必要です。(内容を全部暗記する必要はありません。)

問12 システム監査(表計算ソフトの利用についてのシステム監査)

 システム監査というよりも、表計算ソフト利用に関する社内のルールやセキュリティに関する問題でした。システム監査に関する知識は特になくとも、一般論で解答でき、難易度は低い問題でした。