米グーグルが開発を主導するノートPC「Chromebook」が、9月にも日本で発売される。OSにはネットとクラウドの利用を前提にした「Chrome OS」を搭載、数秒で起動し「Google Apps」をはじめとするクラウドサービスがすぐに利用できる。

 7月から発売している米国で、同社は企業向けに従量制の料金プランや管理機能などを提供済み。これらを日本でも展開するとみられる。

 「60日以内に日本でChromebookを発売する。メーカーは韓国サムスン電子と台湾エイサーだ。第4四半期には、さらに多くの製品が登場するだろう」。米グーグルで企業向け事業の販売などを担当するアミット・シング副社長は7月末、本誌取材にこう答えた。同社がChromebookの日本投入時期を明言したのは初めてだ。

 「企業がChromebookを使う利点は、システム運用管理やセキュリティの管理を、極めてシンプルにできることだ」。シング副社長は、こうアピールする。グーグルは企業向けに、端末の一元管理機能をSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)形式で提供する。ユーザーIDやパスワード、アプリケーションなどを、管理者がWebベースの管理コンソールから一括して設定できる。

 ほかにも企業の導入を促進するための施策を用意する()。その一つが、月額払いの料金プランだ。端末1台当たり月額27ドル(エイサー製品の場合)で利用できる。同プランにはSaaS形式の端末管理機能に加えて、3年ごとに端末を新製品に交換できるといった企業向けサービスも付属する。ソフトとハードを含めたクライアント環境全体を、サービスとして利用できるようにしようというわけだ。

図●米グーグルによる、「Chromebook」の企業向け導入促進策
図●米グーグルによる、「Chromebook」の企業向け導入促進策

 月額課金制を採用した企業向けモデルの販売は、グーグル自身のほか、Google Appsなどを販売するインテグレータが手掛ける可能性が高い。米国では、企業向けにはグーグルが直接販売している。

 もう一つの導入促進策はクラウドサービスの強化である。Google Appsの文書作成や電子メールといった機能を、ネットに接続していない状態でも利用可能にする。シング副社長は、「文書編集機能も強化を続ける。マイクロソフトのOfficeを置き換え、Webだけですべての作業をこなせるようにする」と語る。