「約111億円」という巨額の損害賠償を求めて、スルガ銀行が日本IBMを提訴したのは2008年3月のことだ。それから3年余り、裁判は終盤戦を迎えているという。システム開発に多少のトラブルは付きものだが、これほど大きな損害賠償請求に至ったのはどうしてか。ここで、裁判で示された問題を振り返ってみよう。

プロジェクト破綻までの経緯と裁判の様子

 スルガ銀行は勘定系の次期システムとして、IBMのパッケージ「NEFSS/Corebank」の導入を決め、2004年9月にプロジェクトがスタートした。だが、要件定義を3回繰り返すなどシステム開発は難航。2008年1月の稼働予定を延期した。日本IBMはスコープの大幅な縮小や追加費用を要求したが折り合わず、2007年5月にスルガ銀はプロジェクトの中止を決断した。

スルガ銀が日本IBMを提訴、システム開発の債務不履行による損害など111億円超を賠償請求

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スルガ銀-IBM裁判、終盤戦へ

銀行向けパッケージ「NEFSS」と発表当時の国内商戦の模様

 「NEFSS/Corebank」は、J2EE準拠のオープン勘定系システムで、サービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づくシステム構築が可能だ。顧客単位で複数の金融商品の口座をまとめて管理するなどの特徴を備え、当時の邦銀の勘定系システムと比べて新規性があった。

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