米マイクロソフトは2012年にも出荷する「Windows 8」で、OSの設計・開発思想を大きく転換する。動作対象機器をPCから非PCにも広げ、タブレット端末などをPCと同列の機器と位置付ける。タッチ操作を全面採用するなど、一部の機能はタブレット端末やスマートフォンの機能を取り入れた。ハードウエアの推奨仕様を低く抑えて、性能の低い機器でも問題なく利用できるようにする。アプリケーション開発についても、タブレット端末やスマートフォンとも共通化しやすいWeb技術を採用する。

 「スレート(タブレット)版Windowsの幕開けだ」。マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)は、7月に開いたパートナー企業向けのイベントで、Windows 8をこう紹介した。

 マイクロソフトの狙いは、Windows 8の特徴から見て取れる()。操作性の面では、タブレット端末での利用拡大を念頭に、タッチ操作向けの機能を多数搭載する。利用者が最初に目にする「デスクトップ」画面を刷新し、既存のアイコンに替えて「タイル」と呼ぶ四角形でアプリケーションやファイルを表現する。「タイルはアイコンに比べて視認性が高く、タッチ操作が容易だ」(タミ・レラーWindows &Windows Live担当コーポレート副社長)。

図●現時点で判明している「Windows 8」の特徴
図●現時点で判明している「Windows 8」の特徴
タッチ操作の全面採用、ハードウエア仕様の据え置きなど、タブレット端末をはじめとする非PC機器を強く意識した特徴を備える

 タイルは同社のスマートフォン向けOSである「Windows Phone 7」と同様のUIだ。画面を指でなぞってアプリケーションを切り替えたり、アプリケーションごとの表示領域の大きさを変更したりできる。

 Windows 8の動作に必要な推奨ハードウエア仕様は、現行版である「Windows 7」とほぼ同等かそれ以下にする。これはPCよりも性能の低いタブレット端末での動作を想定した措置である。「Windows 7から実施している、ハードウエアの推奨仕様を低く抑える取り組みを継続する」(レラー コーポレート副社長)。

 アプリケーション開発技術については、HTML 5やJavaScriptといったWeb標準技術を採用する。PC、タブレット、スマートフォンで共通の開発技術を使えるようにして、アプリケーションの拡充を図る。