本書の「まえがき」に、この本を執筆した動機が書かれている。第1に「Webを検索すると多数のDNSに関する設定例を見つけることができる。それらを見ると正しい設定例もあるが、誤った設定例も少なくない。(中略)DNSは、その設計思想ゆえに多少設定に誤りがあっても動くように作られていることが災いし、誤った設定に気づかずに運用している例が少なくない」という思いがあったためだという。自分のことかもと思った人は、ぜひ一読をお勧めする。第2に、DNSSECを含む最新のDNS技術に関しての書籍がない、と考えたからだという。二つの動機はいずれも、DNSを安全に運用してほしいという思いによるものだ。

 内容は3部構成だ。1部と2部はDNSの基礎知識で、DNSとは何かということから始まり、DNSSECの紹介までになっている。3部はDNS(DNSSEC)の設定と運用についての実践的な内容だ。この第3部だけで全体の3分の2ほどのページ数を割いているが、単なるDNSの取り扱い説明書に陥らずに、「読める」内容となっている。著者は3人ともJPRSの社員。DNSへの愛があふれた一冊だ。

実践DNS

実践DNS
民田 雅人/森下 泰宏/坂口 智哉著
日本レジストリサービス(JPRS)監修
アスキー・メディアワークス発行
2940円(税込)