人気Linuxディストリビューションである「Ubuntu」に最新バージョンが提供された。デスクトップ環境にUnityを採用し、メニューツリーを用いないアプリケーションの起動やタブレットPCでの操作性向上などがされている。本記事ではUbuntuの最新機能からUnityのカスタマイズ方法まで紹介する。
Linuxで現在最も利用されているデスクトップ向けLinuxディストリビューションが英Canonical社の「Ubuntu」である。Ubuntuは、Debian GNU/Linuxをベースとして作成されたディストリビューションで、ユーザーの操作性を重点に考えられて作成されている。そのため、WindowsやMac OS Xなどを利用したことのある人であれば、特に問題なく利用できる手軽さから人気を得ている。
Ubuntuは、4月と10月の年2回、新しいバーションをリリースする。そして、2011年4月28日に新たにリリースされたのが、「Ubuntu 11.04」(開発コードはNatty Narwhal)である(写真1)。
Ubuntu 11.04では、デスクトップ環境に「Unity」を採用、配布形式の変更、標準搭載アプリケーションの変更、といった改善が施されている。Ubuntu 11.04で採用する主なアプリケーションを表1に示す。
主要アプリケーション
Linuxカーネル 2.6.38.2 |
gcc 3.3.2 |
glibc 2.13 |
GNOME 2.32.1 |
Python 2.7 |
Upstart 0.9 |
X.org 1.10.1 |
では、最新版の強化点を解説していこう。
Netbook Editionを廃止
前バージョンとなるUbuntu 10.10では、デスクトップクライアント向けの「Desktop Edition」、ネットブック向けの「Netbook Edition」、サーバー向けの「Server Edition」の3種類が用意されていた。しかし、Ubuntu 11.04では、Desktop EditionとNetbook Editionを統合した。名前もEditionを抜いて「Ubuntu」として配布している。Server Editionについては「Ubuntu Server」と名称を変更した。それぞれには32ビット版と64ビット版が用意されている。
また、Ubuntu Japanese Teamでは、Ubuntu 11.04を日本語環境にカスタマイズした「Ubuntu 11.04 Desktop 日本語 Remix CD」を提供している。日本語版では、文字のエンコーディングなど日本語環境に合わせた変更などが行われている。Ubuntu 10.10まで標準で搭載していた「日本語環境セットアップ・ヘルパ」は搭載しなくなった。ただし、パッケージ管理システムのリポジトリにはUbuntu Japanese Teamのリポジトリが設定されているため、Ubuntuソフトウェアセンターなどを用いれば日本語フォントなどをインストールすることが可能だ。
このほかにもCanonical社の別プロジェクトとして提供している、Kubuntu、Xubuntu、Ubuntu Studio、Edubuntuなども最新版に刷新されている。
標準アプリケーションの変更
搭載するアプリケーションの変更点としては、Webブラウザが最新版のFirefox 4を採用している。また、音楽プレーヤはRhythmboxからBansheeに変更された。
前バージョンではオフィスアプリケーションとしてLibreOfficeを採用している。前バージョンで採用していたOpenOffice.orgは、2010年9月より米Oracle社の傘下に入った。しかし、OpenOffice.orgの主要開発メンバーはベンダーに依存してしまうことを懸念し、LibreOfficeを立ち上げ、ベンダーに依存しないフリーのオフィススイートを開発している。