トナーで印刷するプリンターや複合機は、消費電力の変動が大きい。ウォームアップ時や印刷時に大きな電力を使う一方で、スリープ時の電力はかなり低い(図1)。従って節電のポイントは「いかにスリープ以外の時間を減らすかにかかっている」(キヤノンマーケティングジャパン コーポレートMFP企画課の川東道明課長)。
最も効果的なのは、スリープへの移行時間を短くすること(図2)。例えば、「売れ筋のLP-S5000では初期設定の15分を5分に変えるだけで消費電力を48%削減できる」(エプソン販売 LP・BIJMD部(BIJ)の戸田弥広課長)などと大きな効果が見込める。スリープからの復帰時間も今では十数秒程度の製品が増え、それほど気にならなくなった。
印刷の仕方で節電できる
印刷時間を減らすには印刷枚数を減らせばよい。用紙1枚に2ページ分を縮小して収める「割付印刷」が、枚数を半減できて効果的だ(図3)。さらにお薦めは「両面印刷」。直接オフィスの節電にはならないが、「A4用紙1枚の生産に約15Wh必要なので間接的な効果は大きい」(リコー グローバルCRM推進室 ナレッジマネジメント推進グループの益田英治氏)。セイコーエプソンは、オフィスソフト上で割付印刷や両面印刷を簡単に設定できるようにするソフトを無償提供している(図4)。
まとめて印刷するのも節電になる。バラバラに印刷すると、そのたびにウォームアップが必要になるからだ。ICカードを使った“承認印刷”も有効だ(図5)。複数の印刷ジョブをまとめて出力でき、「印刷操作後でも取り消せるので、無駄な印刷を回避できる」(キヤノンマーケティングジャパン ページプリンタ商品企画課の寺久保朝昭課長)。ICカードを使わずに、パスワードによって承認印刷ができる製品もある。
トナーセーブモードも有効だ。支障ない範囲で薄く印刷する機能で、本来はコスト削減が目的だが、「定着熱量が減るので節電になる」(リコー 商品マーケティングセンター第一商品戦略室の喜多村栄氏)。