Adobe AIRとは、異なるOSやデバイス上で共通に動作する無償のアプリケーションランタイム(実行環境)である。AIRランタイム上で動くアプリケーションは、Web制作で使われるHTML、JavaScript、Adobe Flash、Flex、ActionScriptを自由に組み合わせて開発でき、デスクトップコンピューター、ネットブック、タブレット、スマートフォン、テレビなど多種多様なデバイス上で動作する(図1)。
AIRランタイムは、アドビ システムズ(以下、アドビ)のWebサイトから、Android向けのランタイムは、Androidマーケット
2008年2月にWindows、Mac OS向けのAIR 1.0がリリースされ、その後Linux*1にも対応した。2010年にはAndroid、Blackberry Tablet OS、iOSやテレビに対応している。現在の最新バージョンはAIR 2.7(2011年6月14日にリリース)となっている。
Adobe AIRがサポートする環境とランタイムの入手先
記事執筆時点(2011年 7月)でAIRがサポートする環境とランタイムの入手先は以下の表1の通りである。
AIRがサポートする環境 | AIRランタイムの入手先 |
---|---|
Windows | ダウンロードセンター  |
Mac OS | ダウンロードセンター |
Linux | アーカイブ版ページ  |
Google Android | Androidマーケット |
BlackBerry Tablet | OSにプリインストールされ、BlackBerry Tablet OSに組み込まれている |
Apple iOS | iOS用AIRアプリケーションが「独自」バージョンのAIRランタイムをインストールするので、ユーザーは専用バージョンのAdobe AIRをインストールしない |
テレビ *2 | Adobe AIR対応のテレビにはランタイムがプリインストールされる |
AIRを実行できるOSの詳細情報は、アドビの必要システム構成ページにて確認できる。
なお、Adobe AIRランタイムがプリインストールされていないデスクトップコンピュータでは、AIRアプリケーションを配布する Webサイトにシームレスインストールを作成することで、コンピューター内のAIRランタイムの有無を確認し、アプリケーションインストールの手順内にAIRランタイムのインストールを含めることが簡単にできる。
また、AIRをサポートするAndroidデバイスにおいて、AIRランタイムがインストールされていない状態でAIRアプリケーションをインストールする場合は、AndroidマーケットからAIRランタイムをインストールするかどうかを問い合わせるメッセージが自動的に表示され、ユーザーは簡単にAIRの動作環境をセットアップできる仕組みがサポートされている。
採用例とダウンロード数
日本国内でも多くのAIRアプリケーションが大手金融系や基幹系の業務アプリケーション、ユーティリティやゲームなど、様々な分野で採用されている。Adobe AIR Galleryには、その一部が登録されているほか、Androidマーケットにも多数のAIRアプリケーションが登録されている。
2008年のデビューから現在までのAdobe AIRの総ダウンロード数は4億5千万以上となっている。なお、AndroidマーケットのAdobe AIRのページを見ると、Android向けのAIRダウンロード数は4万件を超えている。平均評価も4.4(5段階評価)となっている。