KDDIが8月より開始する新サービス発掘プログラム「KDDI ∞ Labo」のキックオフイベントが2011年6月21日に開かれた。「∞ Labo」は「ムゲンラボ」と読む。このイベントに取材陣の一人として参加して見聞きした事柄とその印象を記録しておきたい。

 まず「∞ Labo」の内容を簡単に説明しておこう。プログラムの対象となるのは「Androidを中心としたプロダクトやアプリケーションなど、グローバルで通用するインターネットサービス開発」を行う少人数のチームだ。チームの人数は最大3名、個人も参加可能、法人の場合は10人以下で設立3年以下の企業という制約がある。選ばれたチームに与えられるものは、主としてKDDIの六本木事業所内のコミュニケーションスペースという「場」、それにサービス開発と経営支援の双方からのアドバイスだ。選ばれたチームは3カ月という短期でベータ版サービスをリリースする。

写真●「∞ Labo」の実施スケジュール。3カ月でベータ版サービスを開発し、2カ月をメドに事業化の検討、プロモーションなどを実施する
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 「3カ月でベータ版サービスを開発できる技術力」も選抜の条件となる。つまり、単にアイデアを持ってるだけではダメで、開発する能力を備えたチームである必要がある。優秀なチームの作品には「au one market」などを使ったプロモーションを行う。さらに出資や提携に結びつく可能性がある。

 金銭的な支援はプログラムには含まれていない。プログラム参加中のチームは、ある程度の「持ち出し」を覚悟する必要がある。優秀なサービスはKDDIからの出資や事業提供の検討対象となるものの、プログラムに参加する時点で何らかの保証が得られる訳ではない。

 他のチームや、後述する社外アドバイザーとの交流、それに作業スペースなどの支援が得られることは、開発に集中する上では有利な条件といえるだろう。それに加えて、通信環境、最新のAndroid OSや端末に関する情報提供、端末の貸与、サーバー環境の提供を受けることができる。さらに、KDDIとの出資、提携に関する交渉で有利なスタートラインに立つことができる。開発したサービスは、KDDI以外の事業者に対して提供してもよいが「まずKDDIと話をしてほしい」という点が唯一の「縛り」である。

写真●KDDIが提供する支援内容
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 KDDI側は、金銭的な支援は行わない代わりに場所や社員の時間というリソースを提供する。このように「手弁当」の色彩が強いプログラムだ。