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 IE9のJavaScriptは、既存アプリケーションの互換性では注意が必要だと分かったが、処理速度の面ではどうか。JavaScript用のベンチマークテストとしてよく利用される「SunSpider JavaScript Benchmark」で検証すると、大幅に高速化されていた(図6)。

図6●JavaScriptのベンチマーク結果<br>IE9はIE8の16.1倍高速で、Firefox4、Chrome11よりも速かった
図6●JavaScriptのベンチマーク結果
IE9はIE8の16.1倍高速で、Firefox4、Chrome11よりも速かった
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 IEはこれまで、他のブラウザーと比べてJavaScriptの処理速度が遅いのが弱点だった。検証結果を見ると、IE9は、IE8の16.1倍も高速になっていた。比較対象としてFirefox4とChrome11の速度も調べたら、IE9はどちらのブラウザーよりも高速だった。Firefox4はIE8の14.7倍、Chrome11は12.2倍にとどまった。なおFirefox4は2011年3月、Chrome11は2011年4月にリリースされたばかりの最新版である。

 IE9をIE8用の互換モード注2で動作させたときの処理速度も調べた。IE8互換モードは、IE9の標準モードよりも低速で、処理速度はIE8の9.8倍にとどまった。特に文字列操作と正規表現操作で高速化の度合いが低かった。

 それでも10倍近い速度差があることを考えれば、HTML5などの新機能を使わない場合でも、IE8からIE9にバージョンアップするメリットは大きいだろう。