日本マイクロソフトは2011年4月26日、「Internet Explorer(IE)9」の日本語版をリリースした。IE9では、JavaScriptエンジンを刷新。Firefoxなど他のブラウザーが採用するDOM(Document Object Model)の標準規格に対応し、処理速度も向上させた。
IEは現在、業務アプリケーションの標準ブラウザーとして広く利用されている。IE6やIE7向けに開発した既存のアプリケーションを今後、どう移行していくのか。Windows自体の更新に合わせて、次の標準ブラウザーはどれにするのか。そうした検討をするのにIE9の実力は気になるところだろう。
そこで本稿では、(1)既存のWebアプリケーションの互換性、(2)JavaScriptの処理速度、(3)Webアプリケーションの新しい開発基盤となる「HTML5」への対応状況──という三つの項目について検証した。
互換性について調べてみると、既存アプリケーションがうまく動作しないケースが出てきた(図1)。コードを修正する、またはブラウザーをIE8以前の互換モードで動作させる必要がある。
ベンチマークテストでJavaScriptの処理速度を調べたところ、IE9はIE8の16倍も高速だった。
HTML5への対応では、ブラウザー側でデータを保持できる「Webストレージ」と、JavaScriptで図を描画する「canvas」について検証した。開発したコードはFirefox、Chromeでも同じように動作することが確かめられた。
次回以降、三つの検証項目について詳しく見ていこう。