「第二のホームページ」、ローソンはFacebook内に作ったWebページをそう位置づけ、既存の自社サイトへの送客に積極活用している。ソフトバンクモバイルは、Twitter上に散見される顧客の声を探しだし、不満解消のために自ら話しかけていく――。巨大地震後の圧倒的な情報伝播(でんぱ)力が多くの人の目を引いたソーシャルメディア。TwitterやFacebookなどを手軽に利用できるツールとして、スマートフォンの売り上げも順調に伸びている。ソーシャルメディアの力を多角的に分析する本連載の第2回では、(1)潜在顧客との交流、(2)生の声を生かしたサポート、(3)新規ビジネスの創出――の三つの観点から最新事例を紹介。顧客の懐に入り、心をつかむことができるツールとして、先進企業はソーシャルメディアを高く評価している。

【1】 潜在顧客との交流

図1●ローソンのソーシャルメディア戦略
図1●ローソンのソーシャルメディア戦略
ソーシャルメディア上の架空キャラクターを確立し、関連部門が連携して情報を発信する体制を敷いている。
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 「第二のホームページ」。ローソンの広告販促企画部でソーシャルメディア戦略を担当する白井明子氏は、2010年10月に開設した公式Facebookページをこう表現する。

 同社はソーシャルメディア活用の組織体制を構築(図1)。「新商品のプロモーションには、必ずFacebookページを使うようにしている」(白石氏)。同ページを訪れた利用者がコメントを投稿したり、コンテンツやコメントを共有したりする機能を生かす。

Facebookで4億円分の効果

 ローソンがFacebookページを開設した狙いは「ファン」と呼ぶ利用者を増やすことだ。ファンとは、Facebookページに表示される「いいね!」ボタンをクリックした利用者のこと。ある利用者がファンとなったFacebookページやコンテンツは、Facebook上の「友人」にも通知される。次々に情報が伝播するので口コミ効果を期待できる。

 ポイントは、ローソンの顧客でなくてもファンになれることだ。ローソンのFacebookページをたまたま訪れたり、Facebook上の友人から勧められたりした人も含まれる。「ファンを増やすことで、これまでアプローチしにくかった潜在的な顧客層にも情報を届けることができる」(白井氏)わけだ。

 現在、ローソンのファンは5万7500人を超えている(2011年6月13日時点)。その効果は、既存のホームページへの送客という形で表れている。

 既存ホームページの訪問者に占めるFacebookページ経由の割合である「流入率」は、2011年4月時点で5%。これを既存のバナー広告を購入して達成した場合に換算した広告効果は、約4億円だという。「流入率は順調に増え、それに伴い広告効果も増している」(白井氏)。