企業情報システムでは、米インテルのCPUとその互換プロセッサ(x86、x64系)がクライアントパソコンやPCサーバーで、RISC系プロセッサ(SPARCやPowerなど)やインテルのItanium(IA64系)がサーバー機で主に使われてきた。しかし、スマートフォンやタブレットでは、まったく違うプロセッサが利用されることがほとんどだ。

 表1は、2011年夏に発売される(一部は春に発売済み)携帯電話事業者の主なスマートフォンとタブレットだ。これらに使われているプロセッサは、パソコンで使われているものとは異なる。メーカーだけでも3社以上ある。

表1●各携帯電話事業者から2011年夏に発売される(一部春に発売済み)主なスマートフォン/タブレットと搭載するプロセッサ
表1●各携帯電話事業者から2011年夏に発売される(一部春に発売済み)主なスマートフォン/タブレットと搭載するプロセッサ

 これは、もともと携帯電話がその性格上、パソコン系のプロセッサを利用できなかったからである。そのため、違う種類のプロセッサが使われてきた。

 一般に、パソコンやサーバーなどのコンピュータシステム以外に使われるマイクロプロセッサの応用分野を「組み込み系」という。我々が目にするコンピュータに比べ、マイクロプロセッサが組み込まれた製品は現在のエレクトロニクス機器の大半、自動車などの機械装置、通信関連機器など広範囲にわたっており、プロセッサの数という点で見ると、コンピュータシステムの数百倍以上の数のプロセッサが組み込み系で使われている。