(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
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今回の回答者: 日野 哲哉 摂津金属工業 東京第一営業所 所長 |
データセンターでサーバーがラックに収納されて整然と並んでいる様子を見たことはありませんか? あのラックはすべて横幅が19インチの「19インチラック」です。このラックと、そこに入っているサーバーの「高さ」を示す単位がUです。
UとはUnitの頭文字で、1Uは1.75インチのことです。高さが3.5インチの機器は2U、7インチの機器は4Uになるわけです。これは米国電子工業会(EIA)で決められました。1.75インチはメートル法で表すと44.45mmです。この寸法は親指の長さが基になっているといわれています。この長さが人間工学的に扱いやすいからという理由のようです。
19インチラックの規格には、EIA規格のほかにJIS規格もあります。JIS規格の場合、高さの単位が50mmになります。JIS規格はメートル法を基にしているのでキリのよい数字なのです。弊社ではJIS規格の高さ方向の単位を「J」と呼んで、Uと使い分けています。なお、どちらの規格も奥行きは規定していません。
EIA規格とJIS規格は高さだけでなく、ねじ穴の数と位置も異なります。EIA規格は1U当たりのねじ穴は3個ですが、JIS規格は1J当たりのねじ穴は1個です。
規格は2種類あるものの、IT関連機器ではもっぱらEIA規格が使われています。プロオーディオ機器や工場で使われる計測器でもEIA規格のものが多いと思います。一方のJIS規格は、一部の放送関係の機器で使われるくらいです。
19インチラックの歴史をひも解くと、元々は工場で使われる計測器を入れるラックから始まっています。その後、放送関係の機器を収納するようになり、最近はサーバーやネットワーク機器などIT関連の機器を収納することが増えています。こうした変化に合わせ、ラックの性能や機能も変わってきました。データセンター向けのものは、耐震性能や熱対策の機能が充実しています。オフィス向けのものでは、防音性を高めたりしています。