2010年末にオープンした「Android Developer Lounge」。当初は「初心者向け開発情報」「マーケット関連情報」の2フォーラムでスタートしたが、2011年4月1日には新フォーラム「Androidウォール」を開設。Androidに関する旬の話題を中心として、日々フランクなやり取りが行われている。

 そして6月21日、新たに「Androidビジネス活用」フォーラムが仲間に加わった。本フォーラムはその名のとおり、Androidの企業導入やBtoB、BtoCでの利用などにフォーカスしたものだ。フォーラムリーダーのyoshitakさんが中心となり、Androidのビジネス利用に関する話題をセキュリティから電子書籍に至るまで、多角的な視点で情報提供している。今回はその中からいくつか紹介したい。

Androidのスマホやタブレット端末を社員用の業務端末として使っていこうというユーザー企業さんに話を聞くと、やはり話題に出るのはMDM(端末管理)。セキュリティや資産管理の観点から、端末をどう効率的に、かつ安全に管理するためには必須の機能かと思います。

最近、MDMについての製品やサービスが相次ぎ登場していますので、ここで過去ITproで紹介された製品やサービスをまとめてご紹介します。

■スマートフォン自由自在:[4]デバイス管理で安心度を高める---Android
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20110329/358869/
日経コンピュータによる取材記事。ここでは富士通ビー・エス・シーやインヴェンテッドなど複数のITベンダーによるサービスやソフト製品が紹介されています。各サービス/ソフト製品が採用している、SMSを使ったプッシュ配信の仕組みについても解説されていますので、まず最初にご覧になるとよいかもしれません。

■「スマホ」向けのセキュリティ基盤サービス、ベリサインとアイキューブドが提供開始
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110331/358980/
先に挙げた日経コンピュータの記事は3月3日号の取材時点による記事ですが、その後ベリサインとアイキューブドシステムズがMDMサービス「ベリサイン MDM powered by CLOMO」を投入しました。いわゆる端末管理や遠隔操作の機能だけでなく、ベリサインが持つ電子証明書認証局の仕組みを組み合わせることで、不正アクセス対策を強化しているのが特徴です。

■マカフィーの「McAfee Enterprise Mobility Management」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/db/article/10005206/
こちらは「ITpro Data」の記事。ウイルス対策ソフトも、MDMに類する機能を搭載しています。

これは私が先日開催された「Interop Tokyo 2011」で聞いてきた話ですが、ウイルス対策ソフトのカスペルスキーが今年後半にもAndroidで動作する企業向けウイルス対策ソフト製品を本格提供するそうです。管理用サーバーソフトと組み合わせることで、マルウエア対策機能に加えて、MDMに類する端末追跡機能、SMSを使った利用停止や端末のワイプ(データ消去)機能などが使えるようです。

yoshitakさん「企業利用で必須のMDM(端末管理)」

一つ思ったことは、「どのような運用ポリシーが望ましいのだろう?」ということです。

さまざまな管理製品が出ている訳ですが、これらは運用ポリシーによって相当使い勝手が異なると思います。社内ネットワークへのログインには長いパスワードと証明書を必須とする、であるとか、アプリのインストールにある種の制限を設ける、であるとか。

これら管理製品を導入した企業が「どんな運用ポリシーを定めているのか」「それらのポリシーに関して、どういう利害得失を感じているのか」という情報があると、面白いのではないかと思いました。そういった情報を求めるのはまだ時期尚早なのかもしれませんが、利用中の方からの報告があると嬉しい分野です。

hoshiさん「企業利用で必須のMDM(端末管理)」

宮崎大学医学部付属病院がこの4月からお医者さんや看護師さんが使う業務端末としてGalaxy Sを導入しているそうです。耐衝撃性や耐水性は備えていない、通常の汎用端末ですね。

下記、電子カルテシステムを開発したコア・クリエイトシステム社のプレスリリース(PDF)のURLです。
http://www.corecreate.com/20110310.pdf

プレスリリースには、「汎用端末ゆえに安く導入できる」というメリットが書かれています。もしかしたら宮崎大学医学部付属病院では「濡れたり汚れたりで壊れたら、新しい端末を入れる」という割り切りをしていらっしゃるのかもしれませんね。おそらく、データも端末側には持たせない仕組みにしているのだろうと推察できます。

そう考えると、端末に対してどのくらいの丈夫さを持たせるかは、コストとのかねあいや、システム全体の作りに依存するというところでしょうか。

yoshitakさん「タフなタブレットは激しい現場に受ける!?」

別のトピック(「現場業務にとってばかにならない端末の起動時間」)にもあるように、さまざまな面で高速起動・軽い挙動の端末が求められているのだなと痛感します。現場業務の方は、必要なものを必要な時に取り出す・送るといった作業がおもになるわけで、何でも揃っているPCである必要はないわけですもんね。

病院や大学などは口コミでどんどん機材が広がると聞きますので、まずは電子カルテシステムとしてAndroid端末が位置を確立する可能性も十分に考えられます。

snapさん「タフなタブレットは激しい現場に受ける!?」

ビジネスでのAndroid活用はまだ始まったばかり。導入コスト抑制、即時起動、クイックレスポンスが可能といった長所がある一方で、セキュリティや運用体制、現場での利用に耐えうるハード性能など、慎重に見極めなくてはいけない部分も多い。こうしたビジネス特化型のAndroidフォーラムはありそうでない。開発者はもとより、システム関連や総務関連部署の方などにも参考になると思われる。


出典:
トピック「企業利用で必須のMDM(端末管理)」 - Androidビジネス活用フォーラム
トピック「タフなタブレットは激しい現場に受ける!?」 - Androidビジネス活用フォーラム