ネットワーク機器のデフォルト設定を推奨設定だと思っていたら考えを改めたほうがいい。デフォルト設定が原因でトラブルに見舞われることは少なくないからだ。重要な機能のデフォルト設定は、コンフィグレーション表示だけではなくマニュアルにも当たるべき。事前のチェックがトラブル防止につながる。

 ネットワークを構築するとき、各種機器の初期設定(デフォルト設定)がどうなっているのかを意識せず、そのまま使っていたりしないだろうか。実は現場では、そのデフォルト設定によるトラブルが少なくない。特に、稼働中のネットワークで設定を変更したり、新たに機器を加えたりといった際にこの類のトラブルが生じやすい。以下で、具体例を紹介しよう。

リンクアグリゲーションが効かない

 事例の一つめは、サーバーへのトラフィック増加に対応するためにリンクアグリゲーションで帯域を倍増させたはずが、通信スローダウンが発生したというトラブルである。当初はギガビットイーサネットで接続していたL3(レイヤー3)スイッチ間のリンクを、ポートを2本束ねたリンクアグリゲーション構成へと変更することで、帯域を2Gビット/秒へ倍増させることを意図していた。ところが業務負荷がピークに達したときにトラフィックオーバーフローが発生した。そのときのトラフィック監視装置の表示を見ると、実際のスループットは1Gビット/秒未満となっていた(図1)。

図1●リンクアグリゲーションにしたのに「通信スローダウンが発生」<br>帯域倍増を狙って、ギガビットイーサネットのポートを2本束ねたリンクアグリゲーション構成にしたものの、実際のスループットが1Gビット/秒未満だった。負荷分散アルゴリズムのデフォルト設定に問題があった。
図1●リンクアグリゲーションにしたのに「通信スローダウンが発生」
帯域倍増を狙って、ギガビットイーサネットのポートを2本束ねたリンクアグリゲーション構成にしたものの、実際のスループットが1Gビット/秒未満だった。負荷分散アルゴリズムのデフォルト設定に問題があった。
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