アジア市場(中国・東南アジア・インド)での売上高は、現在の4.9倍となる約90億円。販売代理店数は7.7倍の525社、販売実績は45倍の約2万8000社――。これは、主な国産パッケージソフト10社が3~5年後にアジアで獲得する市場の大きさだ()。

図●主な国産パッケージソフト10社のアジア市場における事業実績と計画<br>アジア市場に進出しており、目標値などを公表している主な国産パッケージソフト10社の調査結果を基に作成した。各社の回答結果を合算している
図●主な国産パッケージソフト10社のアジア市場における事業実績と計画
アジア市場に進出しており、目標値などを公表している主な国産パッケージソフト10社の調査結果を基に作成した。各社の回答結果を合算している
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 「国内の次は中国、そしてアジア全域だ」。国産ソフト各社の経営トップは、異口同音に海外戦略をこう語る。ただ現状では、際立った成果はなかなか聞こえてこない。アジアに進出しているとはいえ、実態としては日本企業の海外拠点を相手にビジネスを行っている企業がほとんど。成長著しいアジア市場の現地企業を、顧客として獲得できていないのが実情だ。

独自調査で分かった本気度

 各社は本気でアジア市場を開拓するつもりなのか。これを探るため、日経コンピュータはアジア進出を果たしている主な国産パッケージソフト13社に対し、独自調査を行った。アジア市場における3~5年後の売上高や販売店代理店数、顧客企業数の計画を聞いた()。

表●アジア市場(中国・東南アジア・インド)における、主な国産パッケージソフト会社の事業展開状況
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表●アジア市場(中国・東南アジア・インド)における、主な国産パッケージソフト会社の事業展開状況

 調査結果や取材から浮かび上がってきたのは、3~5年先を見据えて、本気で中国・アジア市場を獲得しようとしている各社の姿である。今でこそ実績は少ないものの、3~5年後のアジア市場での売上高や顧客企業数を「現在の10倍以上に増やす」という目標を掲げるソフト会社が相次いだ。

 例えば、Web会議システムを開発するブイキューブは、アジア市場での売上高を今後5年で13倍となる20億円に引き上げる計画だ。サイボウズは3年後に13倍の8億円、ウイングアークテクノロジーズは5年後に50倍の10億円を、アジア市場で売り上げる目標を立てる。

浮かび上がる勘所

 国産ソフト各社が狙うのは、中国などアジア各国に本社を置く現地企業だ。例えば、サイボウズは3年後に2万社、ブイキューブは5年後に5000社、セゾン情報システムズは3年後に1000社の顧客を獲得する目標を掲げる。

 しかし、「アジア進出は甘くはない」と、先行する国産ソフト各社の経営トップは口を揃える。特に苦戦しているのが巨大市場、中国でのビジネスだ。当然のことながら、現地企業を相手にしたビジネスは、日本法人の現地拠点に製品を納めるのとは勝手が違う。

 本気でアジア進出を目論む各社の試行錯誤を取材すると、表に示したようなアジア進出計画を達成するための、勘所が浮かび上がってきた。キーワードは、「分かりやすく」「文化を輸出」「経済状況に合わせた価格設定」「ブランド力を高める」である。