ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを提供するベンダー各社が、スマートフォン向けの機能を相次ぎ強化する()。各社に共通するのは、PCを使わずにスマートフォンだけを使用した場合でも、BIツールで扱うすべてのデータを閲覧できるようにしていることだ。

表●BIツールベンダーが実施、もしくは実施予定のスマートフォン向けの機能強化
[画像のクリックで拡大表示]
表●BIツールベンダーが実施、もしくは実施予定のスマートフォン向けの機能強化

 各社とも「スマートフォンの処理性能や通信速度が向上し、画面表示の拡大・縮小が容易にできるなど操作性も向上したことから、PCと同じようにBIツールを扱えるようになった」としている。これまでもBlackBerryなどに対応するツールはあったが、「PCではグラフとダッシュボードを一画面に表示するが、スマートフォンではグラフのみ表示する」といった制限があった。

 今後の新機能の開発をスマートフォン向けに振り切るのが、SAPジャパンだ。独SAPでBIツールの開発を担当するデイブ・ワイズベック シニアバイスプレジデントは「今後、PCを使わずスマートフォンだけを持つユーザーが主流になる」と語る。

 同社は今年7~9月ごろiPhoneに、12月ごろAndroid端末にBIツールを対応させる予定だ。さらに年内にBIツールの新版「SAP BusinessObjects 4.1」をリリースし、スマートフォン向けの専用インタフェースを追加する。専用インタフェースの特徴は、複数のレポートや帳票を、本のページをめくるようにして一覧できることだ。「違うページに飛ぶたびに新たな画面が開き、複数の画面を交互に参照しにくい」、といったスマートフォンの課題を解消するための機能である。

 マイクロストラテジー・ジャパンは6月末に新版「MicroStrategy 9.2.1」の提供を始める。特徴は、データベースなどへのデータの入力を、スマートフォンから行えることだ。これにより、スマートフォンのアプリケーションから分析レポートを閲覧して在庫の不足が分かった際に、すぐに同じアプリケーションから追加の発注をする、といったことが可能になる。スマートフォンにはキーボードがないので、スライダーやリスト入力といった複数の入力方式に対応する。

 クリックテック・ジャパンは6月14日に「QlikView on Mobile」をリリースした。ほかの2社と異なり、スマートフォン専用のアプリケーションを使わず、PCやスマートフォンなど各種端末に対し同じ画面を表示する。「範囲選択」など、端末によって操作が違う部分については、サーバー側でブラウザーと端末の種類を認識し、最適な形に変更する。