6月21日(米国時間)、Firefox(FF)の新版であるバージョン5がリリースされた。Internet Explorerに次ぐ高いシェアを持つ大型製品のメジャーバージョンアップなので、本来であれば注目されるところだが、あまり大きく取り上げられることはなかった。もはやブラウザーのバージョンアップは小さなニュースでしかないのかもしれない。

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 そう考える理由は二つある。

 一つは、バージョンアップのサイクルが極端に短くなっていること。かつてブラウザーのメジャーバージョンアップは数年に一度の大きなイベントだった。しかし、今や一年に数回の年中行事になりつつある。FFの場合、「3」から「4」までは2年8カ月かかっているが、そこから今回の「5」まではわずか3カ月。今後はさらに短期化し、「6」は8月16日リリースの予定。その後は6週間ごとに新版をリリースしていくとされている。

 結果として、メジャーバージョンアップといっても、一つひとつを見れば前バージョンとの差分があまりない。FF5の場合、Linux版でCSSアニメーションがサポートされたほか、安定性向上と性能強化を図ったというのが主な改良点だ。

 もう一つは、バージョンアップがあまりに簡単に行われてしまうことだ。かつてブラウザーのバージョンアップといえば、「ダウンロード→インストール→場合によってはOS再起動」という手順をすべて手作業で行うものだった。特に支障がない限り、パソコンを購入したときにインストールされていたブラウザーのバージョンをそのまま使い続ける人も多い。

 現在のブラウザーはダウンロードやインストールが全自動または半自動で行われるようになっている。Google Chromeの場合、強制アップグレードの仕組みがあり、ユーザーが気づかないうちにバージョンがどんどん上がっていく。その裏では新版を前提にクラウドサービスが機能強化していたりするから、ユーザーが意識しないまま新技術の利用をじわじわ拡大させていくという循環が生まれつつあるのだ。

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