
今回はマーケット要素を解説する。マーケット要素は、電力を搬送する要素(送配電)や電力搬送をコントロールする要素(オペレーション)、消費者に対してサービスを提供する要素(サービスプロバイダー)に比べ、あまり目立たない。
だが、発電を行う側とその電力をユーザーに提供する側とをつなぐための非常に重要な機能である(図1)。簡単に言うと、売り手と買い手を結びつける要素、となる。マーケットでは、発電された電力が需要と供給の関係に応じた価格で取引されている。
エネルギー・マーケット・クリアリングハウス
証券取引市場で株式が取引されるように、市場原理によって電力が取引される場である。電子商取引の利用で、ITと通信の技術が適用されている。
リテーラー/ホールセラー
電力取引市場で活動する電力の小売りや卸売りに携わる事業者を指す。垂直型の電力会社では自社発電所で発電した電力を自社管内に伝送するほか、余剰電力を他の電力会社に売却する場合もあり、取引市場を利用することになる。
発電機能のみを持つ会社もある。発電した電力は、エネルギー・マーケット・クリアリングハウスで売買される。最近は再生可能エネルギーである太陽光や風力による発電を専門に行う発電会社もあり、その電力は市場で取引されている。リーテルの自由化が進んだ州では、一般消費者に提供するための電力をリーテル会社が市場で調達する。
アグリゲーター
再生可能エネルギーを含む分散型発電による電力を、統合して提供する事業者を指す。小さな発電所は単独では発電量が市場取引を行うのに満たない場合がある。しかし小さな発電所をいくつか統合すれば一定規模の電力量となり、市場で取引をすることが可能となる。
発電量ばかりでなく、電子コマースでトレードをするための機材や人材をそろえることも、小規模発電所には荷が重いことが多い。アグリゲーターが代行してくれればその問題も解決する。
ISO/RTO
独立システムオペレーター(ISO)と地域送電オペレーター(RTO)は、送電線への平等なアクセスを保障する機能を持つ組織である。エネルギー・マーケット・クリアリングハウスにも関わっており、電力売買が適正に行われるよう監視している。