OpenStackは2011年4月15日、仮想マシンや仮想ストレージなどのITインフラを提供するIaaSを構築できる「OpenStack」の最新版となる「Cactus」を公開した。IaaS構築ソフトとして必要な機能が一通りそろった。
OpenStack Cactusは、オープンソースのIaaS(Infrastructure as a Service)構築プラットフォームだ。仮想マシンや仮想ネットワークといった複数ある仮想化ソフトを統合管理する“司令塔”として動作し、クラウドサービスとして運用するためのAPIやユーザーインタフェースを提供する(写真1)。
最新版のCactusでは、物理サーバー間で仮想マシンを起動したまま移動させる「ライブマイグレーション」への対応や、制御可能な仮想化ソフトの拡充などを実施(表1)。2010年10月の第1版「Austin」、2011年2月の第2版「Bexar」に続く第3版となるCactusで、OpenStackにはIaaS構築ソフトとして必要な機能が一通りそろった。
仮想マシンの生成や削除を担う中核モジュールの「OpenStack Compute」は、Linuxの仮想化ソフト「KVM」が備えるライブマイグレーション機能の制御に対応。制御可能な仮想マシンソフトに「VMware」と「LXC」を加え、従来からのKVMやXen、Microsoft Hyper-Vなどと合わせて計8種類の仮想化ソフトの制御に対応した。
クラウドサービスの「Amazon S3」のようなオブジェクトストレージを提供できる「OpenStack Object Storage」は、基本機能を強化。ファイルを読み出す際にエラーを検出するチェックサム機能や、index.htmlなどの静的なWebコンテンツを表示するWebサーバー機能を追加した。
Ubuntuが標準搭載へ
OpenStackは、Ubuntuを開発する英Canonical社がプロジェクトに参加している。Ubuntuであれば、PPA(Personal Package Archive)経由でCactusを入手できる。例えばOpenStack Computeなら、
$ sudo add-apt-repository ppa:nova-core/release
としてOpenStackのリポジトリを追加し、パッケージマネージャやapt-getコマンドを通じてインターネット経由で入手できる。
最新のUbuntu 11.04では、OpenStackを標準パッケージとして用意する。記事執筆時点ではベータ2の段階だが、既にリポジトリにOpenStack Cactusが含まれた状態だ。
Ubuntuは従来から、IaaS構築プラットフォームとして、米Amazon Web Services社のIaaS「Amazon EC2」と互換性があるオープンソースソフトの「Eucalyptus」を搭載している。OpenStackのAPIも、Amazon EC2と互換性がある。両者がUbuntuを舞台に、IaaS構築機能や安定性の強化を競い合うことになりそうだ。