日本ではスマートグリッドというと屋根の上のソーラーパネルや電気自動車のイメージが強い。実際にはICT(情報通信技術)の支えがなければスマートグリッドは成り立たないのだが、その関係が今ひとつ見えにくい。そのため自分たちとは関係ないとIT業界の人たちには思われがちだが、とんでもない。スマートグリッドを支えるのは、電力、通信、ITという三つの技術である。

スマートグリッドの仕組み

 スマートグリッドにおいて情報がネットワーク上をどう流れるのか。米国立標準技術研究所(NIST)が作成している概念的なモデルをベースに、要素を一つずつ解説しよう。

天然ガスを考える

 再生可能エネルギーの問題は、化石燃料や原子力のような大量かつ安定した電力を現在の技術では提供できないことである。その鍵を握るものとして、日米両国で注目されているのが天然ガスだ。しかし果たして化石燃料である天然ガスは、本当に再生可能エネルギーへの架け橋なのだろうか。それとも、障壁なのだろうか。

米国での原発停止の議論---その後

 福島第一原子力発電所の事故に関して、日本政府は最近冷温停止による収束宣言を出したが、まだ完全解決には程遠い。福島の事故後、ドイツやイタリアは脱原発に舵を切った。米国も世論は強く脱原発に動いたことをこの連載でも伝えたが、本当にこのまま脱原発に進むのだろうか。

電気自動車を考える

 電気自動車(EV:Electric Vehicle)はスマートグリッドを構成する要素の一つである。スマートグリッドへのポジティブな影響もあれば、ネガティブな影響もある。ICT(情報通信技術)の視点で、EVとスマートグリッドを考察する。

再生可能エネルギーを考える

 太陽光発電や風力発電は原子力発電所何基分に相当するので、原子力を止めて再生可能エネルギーに特化していくべきだ――。そんな意見を聞くことがある。果たして、そんなに簡単なことなのか。問題点は何か。その問題はICT(情報通信技術)を駆使すれば解決されるのかを考えてみたい。

 再生可能エネルギーは裾野が広い。日本での取り組みを考えるとき、他国と比較すると問題点が鮮明になることがある。この特集では日米を比較しながらの再生可能エネルギーへの取り組みと再生可能エネルギーを生かすICTについて解説する。米国では州によって再生可能エネルギーに対する取り組みが異なるので、米国の中でも他の州の一歩先を行くといわれるカリフォルニア州の状況も報告する。

電力自由化を考える

 東日本大震災と、それに伴う電力危機を契機に、独占を崩す「送発電分離」がにわかに盛り上がってきた。一般論として、このような自由化は歓迎すべきことかもしれないが、事はそう簡単ではない。米国では日本に先駆けて電力自由化した州がいくつかあるが、多くの問題が表面化している。米国における電力自由化の沿革・現状・問題点を解説しながら、日本での電力自由化のあり方を考える。

米国の電力事情

電力きほんのき

東日本大震災のインパクト